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ヨガの基本|考え方や初心者でもできる基本的なポーズを紹介

記事作成日:2024.12.12
「ヨガの基本知識が知りたい」
「どのヨガポーズが基本でおすすめ?」

上記のようなお悩みはないですか?
ヨガは単なるエクササイズやダイエット目的の運動ではなく、肉体と精神を鍛えるための技法です。ヨガは初心者でも取り組みやすいですが、基礎知識があると上達が早く続けやすくなります。古代インド発祥のヨガは独自の哲学を持ち、「八支則」と呼ばれる教えを含んでいます。

この記事では、ヨガの基本的な考え方や、「八支則(はっしそく)」について、初心者でもできるヨガポーズなどの知識を詳しく解説します。
最後まで読むと、ヨガの基礎知識がつき、ヨガにより興味を持てるようになるでしょう。
ヨガの基本|考え方や初心者でもできる基本的なポーズを紹介

目次

そもそもヨガとは?

ヨガは、ただのエクササイズではなく心身の調和を目指すものです。
ヨガは呼吸法、ポーズ、瞑想を組み合わせて行い、身体の緊張をほぐし心身のバランスを整えます

ストレッチは筋肉を柔らかくし、運動前に身体を温める目的で行われますが、ヨガは深い腹式呼吸と瞑想を取り入れ、心身全体の調和を図ります。例えば、エアロビクスやウォーキングが体力向上や健康維持を目的とするのに対し、ヨガは精神面の安定を重要視しています。

ヨガを始める際に大切なのは、ただの運動としてではなく、心身を調和させる精神修養としてのヨガの本来の目的を理解することです。

ヨガの基本となる3つの柱|呼吸・姿勢・瞑想

ヨガは「瞑想・呼吸・ポーズ」の3つの柱で成り立っています。
3つの要素を組み合わせて実践すると、心の鍛錬が促され、精神統一が図れるからです。

以下では、瞑想・呼吸・ポーズについて詳しく解説していきます。

2-1瞑想

瞑想は、心を静め自分の内面に集中できるので、頭と心をクリアにします。
瞑想を行うと、日常のストレスや雑念から解放され、深い集中状態に入ると精神が落ち着きます。頭の中が整理されるので、心が穏やかになり、思考が明確になるのです。

例えば、1日数分間の瞑想を実践するだけで、ストレスレベルが低下し、心の中がリセットされる効果があります。また、仕事や日常生活の中で、瞑想によって集中力が高まり、ポジティブな気持ちになれる場合もあるでしょう。

瞑想は、静かな心で内面に集中でき頭と心を整理できるため、心身のバランスを取り戻せる重要な方法です。

2-2呼吸

呼吸は、心と身体を結びつけ、感情をコントロールする重要な役割を果たします。
呼吸は、心身の調和をもたらし、リラックスや集中力を高める効果があるためです。

例えば、ヨガのポーズを取る際に呼吸を止めずにゆっくりと吸って吐くと、筋肉が緊張せず、ポーズを長く安定して維持できます。また、深い呼吸はストレスの軽減にも役立ち、感情のバランスを保つのに効果的です。

ヨガは呼吸を大切にしながらポーズを行うと、心身の調和と感情の安定をもたらし、より豊かな体験となるでしょう。

2-3姿勢(ポーズ)

ヨガの姿勢(ポーズ)は、身体全体の筋肉を使うと血流を改善し、体内の老廃物が効率よく排出されるようにサポートします。また、柔軟性を高めることで、身体が動きやすくなり、日常生活での負担が軽減されます。

例えば、前屈のポーズは背中や脚などの筋肉を伸ばし、血流を促進します。体内の循環が良くなり、老廃物の排出がスムーズになります。また、ポーズにより柔軟性が向上し、怪我の予防にもつながるのです。

ヨガのポーズは、血流促進や柔軟性向上を通じて、老廃物の排出を助けてくれるので、全体的な健康の向上に役立つでしょう。

ヨガの基本となる教え「八支則(はっしそく)」

ヨガを深く学ぶためには、「八支則(はっしそく)」の理解が必要です。
八支則は、ヨーガ学派の重要な経典である「ヨーガ・スートラ」に記されており、ヨガを実践する上での基本的な指針となっています。

八支則の教えは、心身の成長を支え、ヨガを単なる運動以上のものとして認識させる役割を持ちます。8つの段階から成り立ち、それぞれがヨガの実践者にとって内面的・外面的な発展を促します。また、さらに三段階に分けられ、具体的には倫理的な行動規範、身体の鍛錬、そして瞑想と集中に関する実践が含まれます。

八支則を学ぶことは、ヨガをより深い哲学的な視点で理解し、心身の調和を目指すための第一歩です。以下では、一つずつ解説していきます。

3-1ヨガを行う上での心得|一段階

ヨガを実践するには、八支則の第一段階である心得を習得することが重要です。
この第一段階は、ヨガを行うための前提条件であり、心得を身につけていないと、本格的にヨガを行う資格を得ることができません。
八支則における第一段階には、ヤマとニヤマがあります。ヨガを行う上での指針となり、精神的な安定や倫理的な行動を促します。

ヤマ(やってはいけない5つの戒め)

ヤマは、ヨガ哲学で最初に学ぶべき内容であり、他人や物に対してやってはいけない5つの戒めを指します。
以下の表は、ヤマの具体的な5つの戒めとその実践内容を示しています。

項目 意味
1 アヒムサー(非暴力) 他人や自分、動物、植物などに対して暴力を振るわない
2 サティヤ(誠実) 嘘をつかない
3 アスティヤ(不盗) 盗んではいけない
4 ブラフマチャリヤ(禁欲) 欲望に対して自分のエネルギーを浪費してはいけない
5 アパリグラハ(不貪・無所有) 物を所有しすぎない

ヤマの5つの戒めを理解し実践すると、心の安定と調和を保ち、ヨガの本質的な価値を深められるでしょう。

二ヤマ(やるべき5つの教え)

ニヤマは、ヨガ哲学で実践すべき5つの教えであり、ヤマとともに学ぶと、ヨガの実践者として必要な心の準備と姿勢を築きます。

以下の表は、ニヤマの5つの教えと具体的な実践方法を示しています。

項目 意味
1 シャウチャ(清浄) 心身を清らかな状態に保つ
2 サントーシャ(知足) 足るを知る
3 タパス(苦行) 目標のために自分との約束を守り、行いをする
4 スヴァディアーヤ(学習、読誦) 教本を読み理解を深める
5 イーシュヴァラ・プラニダーナ(信仰) 自然界や神への信頼

ニヤマは、個人の内面的な成長を促進し、心身のバランスを整えることを目的としています。これらの教えを実践することで、自身の生活に秩序と調和をもたらし、より深いヨガ体験を可能にします。

3-2マット上での動き|二段階

八支則の第二段階は、マット上で行う動きを通じて、身体面からヨガをアプローチする重要な段階です。
二段階は、心と身体のつながりを深めるための具体的な動作を含んでおり、私たちが一般的に「ヨガ」としてイメージする部分です。身体を動かすことで、柔軟性や筋力が高まり、心の落ち着きも得られます。
八支則における第二段階は、アーサナとプラーナヤーマです。
アーサナとプラーナヤーマの実践を通じて、ヨガの身体的アプローチは心身のつながりを強化し、より深いヨガ体験を提供します。

アーサナ(ヨガのポーズ)

アーサナとは、ヨガのポーズを指し、ヨガの実践において重要な要素です。
「アーサナ」は日本語で「座法」と訳されますが、これはヨガの起源において座って行うポーズしかなかったためです。

アーサナは、身体を無理に難易度の高いアクロバティックなポーズに挑戦するのを目的とせず、座ること自体を重視しています。具体的には、長時間の瞑想を可能にするための快適で安定した姿勢の保持が求められます。安定したポーズは、心の平静を保つ助けとなるのです。
アーサナはヨガにおいて快適さと安定性を重視し、無理をせず自然な姿勢を取る意識を持ちましょう。

プラーナヤーマ(呼吸法)

プラーナーヤーマとは、呼吸法を通じてエネルギーを取り込み、コントロールすることを目的としています。息を吸って吐くと副交感神経が刺激されるため、心を司る神経のバランスが整い、心の安定が促されます。

プラーナーヤーマは、息を吸う・止める・吐くというサイクルを時間をかけて繰り返し行います。熟練者であっても完璧に行うことは難しいため、自分のペースで徐々に習得しましょう。

プラーナーヤーマを実践するには、心身のバランスを保ち、心の安定とリラックスをもたらす効果が得られます。

3-3ヨガを行うことによる心の動き|三段階

八支則の第三段階は、ヨガの実践によって心がどのように動き、深まるかを示しています。
三段階は、ヨガを行うことで内面的な成長を追求し、精神的な安定と悟りを目指すものです。
八支則の最終段階であるサマーディ(三昧)を目指し、心を集中し感覚を抑制して深い瞑想に入るための準備を整えます。

この三段階目は、以下の4つに相当します。
・プラティヤハーラ(感覚の抑制)
・ダーラナ(集中)
・ディアーナ(瞑想)
・サマーディ(三昧)
心の鍛錬と深い内面的な探求を伴います。特にダーラナ・ディアーナ・サマーディはまとめて「サンヤマ」とも呼ばれ、八支則の中で最も難しく、極めるべき段階とされています。
八支則の第三段階は心の動きを制御し、最終的にサマーディに至る精神的な成長を促す重要なプロセスです。

プラティヤハーラ(感覚の抑制)

プラティヤハーラは、外側から入る情報に揺さぶられる心を制御し、自分の内側に集中することを指します。人間の心は、五感を通じて得る情報に反応しやすく、内面的な集中を妨げる要因となります。
プラティヤハーラは、こうした外部からの刺激を遮断すると、精神を疲労させる要素から解放され、自分と向き合う準備を整えるためのプロセスです。

プラティヤハーラでは、以下の五感から入る情報をシャットアウトします。
・視覚
・聴覚
・嗅覚
・味覚
・触覚
プラティヤハーラを実践すると、五感による刺激から心を解放し深い内面への集中と精神的な安定を図れるでしょう。

ダーラナ(集中)

ダーラナは、集中して精神統一を図ることを意味し、瞑想の前段階です。

ダーラナを実践すると、心の集中が深まり、次の段階であるディアーナ(瞑想)へと自然に移行するためです。最終的にはヨガのゴールである「サマーディ」に到達できます。

ダーラナを行う際のポイントは、今考えるべきではない雑念を意識から排除します。ヨガの実践中であれば、自身の呼吸や身体の感覚に意識を集中させ、一点に注意を注ぎます。この集中が習得されると、ディアーナに移行しやすくなります。

ダーラナを習得すると、瞑想と精神的な統一への道が開け、最終的にはサマーディに至る準備が整います。

ディアーナ(瞑想)

ディアーナは、一点の集中が途切れることなく続いている状態を指します。
ディアーナは、前述したダーラナで内側の雑念を取り払った状態を作り出した後に行われます。ダーラナが深まると、自然とディアーナに移行し、瞑想の深い集中状態が実現されます。

ディアーナでは、対象への集中が一度も途切れずに維持されている状態を目指します。例えば、呼吸や心の一点に意識を保ち続けると、瞑想が深まり、より安定した精神統一が得られます。

ディアーナはダーラナから自然に発展し、集中の持続によって瞑想の本質的な体験が可能になります。

サマーディ(三昧)

サマーディは、解脱や三昧を意味し、八支則の最終段階にあたります。
サマーディとは、外的な刺激や心の動きに左右されない静かな状態を指します。
執着や煩悩から解き放たれ、ありのままの自分と向き合える状態です。

瞑想中は「瞑想している自分」を認識しますが、サマーディに入ると「自分」の存在が消え、意識が集中対象に完全に覆い尽くされる状態になります。

サマーディでは、「集中している自分」や「サマーディしているかもしれないと考える自分」は存在しません。ただ集中対象だけが残り、完全に一体化した状態です。
一度到達して終わりではなく、何度も八支則を繰り返すと再びサマーディに達します。

サマーディは心の究極の静寂と集中を示し、執着心や煩悩を超越することで初めて得られる深い精神的体験です。

初心者でもできるヨガの基本のポーズ5選

ヨガは初心者でも始めやすいですが、いきなり本格的なポーズに挑戦するよりも、まず基本を理解してから始めるのが重要です。
基本をしっかりと学ぶことで、無理なく続けられケガのリスクも軽減できます。

以下では、初心者でも安全に始められるヨガの基本ポーズを5つご紹介します。

4-11.安楽座(スカーサナ)のポーズ

初心者向けのヨガの基本的な座り方は、安楽座(スカーサナ)です。
安楽座のポーズは、日常生活で馴染みのあるあぐらに似た座り方です。

安楽座は、簡単でリラックスしやすい座り方で、初心者がヨガを始める際に適しています。背筋を伸ばし、身体の左右対称を意識しましょう。正しい姿勢を保ちやすくなります。

安楽座を行う際のポイントは、以下の通りです。
1.背筋を伸ばして座り、右足のかかとを中心部分に近づけ膝を左右に開く
2.左足のかかとを右足の前に揃える
3.手のひらは上に向け、膝の上に軽く乗せる
身体が前傾姿勢にならないように注意しましょう。また、膝が浮いてしまう場合は、床と膝の隙間をクッションで支えると、バランスが取りやすくなります。

安楽座は初心者がヨガを始める際に適した基本の座り方で、身体の左右対称を意識し、無理のない姿勢を心がけましょう。

4-22.チャイルドポーズ

初心者向けのヨガの基本ポーズは「チャイルドポーズ」です。
チャイルドポーズは、腰痛の対策や緩和効果の期待ができます。

背中や腰を優しく伸ばし、リラックスを促すため、腰に負担がかかっているときの緩和に適しています。深い呼吸を合わせて行うことで、心身ともにリフレッシュできます。

チャイルドポーズのやり方は、以下の通りです。
1.手は肩幅、足は腰幅程度に開いて四つん這いになる
2.息を吐きながらお尻をかかとに近づけ、額を床にゆっくりと下ろす
3.姿勢を保ちながら、深く呼吸を続けてリラックスする
チャイルドポーズは腰痛の緩和に効果があり、簡単に実践できる基本のポーズとしておすすめです。

4-33.山のポーズ

山のポーズは、平衡感覚を養い、自分の重心を正確に捉えるための基本ポーズです。
ポーズを正しく行うと、身体のバランスを整え、姿勢改善や集中力の向上に役立ちます。

山のポーズのやり方は、以下の通りです。

1.両足を腰幅に開き、マットの前に立つ
2.身体の重心を真ん中に持ってくる
3.足の裏4点(親指の下、小指の下、かかとの左・右)がマットについているか確認する
4.肩や首、腕の力を抜いて背筋を伸ばす
5.お腹の下の方(丹田)を引き締める
6.目線は一点を見つめるか、目をつぶる
7.深い呼吸を繰り返す

骨盤やつま先の向きが適切であるかを確認し、左右どちらかが傾いていないか鏡の前で確認しましょう。
山のポーズは平衡感覚を鍛え、体の中心を意識するための基本的なポーズで、姿勢の安定を促します。重心を真ん中に持ってくる意識を持って行いましょう。

4-44.猫のポーズ

猫のポーズは、背骨をほぐし肩こりを軽減する効果のある基本ポーズです。
猫のポーズは、背骨の柔軟性を高め、背中や肩周りの緊張を和らげるため、心身のリラックスを促します。

猫のポーズのやり方は、以下の通りです。

1.四つん這いになり、肩の下に手首が来るように配置し、指を広げて手をつく
2.脚は腰幅に開き、膝が脚の付け根の真下にくるように調整し、つま先を立てる
3.息を吸って、吐きながら背中を丸め、おへそを覗くようにして肩甲骨を引き離す
4.息を吸いながら背骨を反らせ、耳と肩を引き離すように首を長く保ち、視線は眉間に向ける
5.再び息を吐きながら背中を丸める
6.上記の動作を呼吸に合わせて5回繰り返す

猫のポーズは背骨の動きを呼吸に合わせて繰り返し行い、背中や肩の緊張をほぐし、肩こりの軽減に役立ちます。

4-55.しかばねのポーズ(シャバーサナ)

しかばねのポーズ(シャバーサナ)は、ヨガのクールダウンとして取り入れられる基本的なポーズです。身体全体がリラックス状態に入り、心身の緊張を解放できます。

しかばねのポーズのやり方は、以下の通りです。

1.仰向けになり、両足を肩幅に広げてリラックスさせる
2.手のひらを上向きにして床に置き、目を閉じる
3.全身の力を抜き、深い呼吸を繰り返しながらリラックスする

しかばねのポーズは心と身体を深く休めるための理想的なポーズです。ヨガのセッションの最後に取り入れると、穏やかなリラックス効果が得られます。

ヨガの理解を深めて、軽やかな心と身体を目指そう


今回は、ヨガの基本的な考え方や、「八支則(はっしそく)」について、初心者でもできるヨガポーズなどの知識を詳しく解説してきました。

ヨガは、ダイエットや運動不足解消、精神的な安定など、始めるきっかけは人それぞれです。ヨガを続けると、心身のコンディションが整い、仕事や人間関係に対する前向きな姿勢を育むことができます。身体の硬さや運動能力に自信がなくても、年齢に関わらず気軽に始められるのが魅力です。

ヨガへの理解を深めておくと、実際にヨガに挑戦したときにコツを掴みやすくなるでしょう。本格的に始めるなら、専門知識と経験豊富なインストラクターがいるヨガスタジオが理想的ですが、まずは自宅で初心者向けのポーズに挑戦するのも良いでしょう。

ヨガは気軽に始め、自分のペースで続けることで、心身ともに軽やかさと健康を手に入れることができます。難しく考えず、まずは自分の身体の声に耳を傾けることから始めてみると良いでしょう。

日本インストラクター技術協会編集部
インストラクターの専門性を高めるためや地位向上を目的とした団体である日本インストラクター技術協会(JIA)編集部が運営するコラムです。
美容・健康・ボディケアの資格の筋トレインストラクター、シェイプアップインストラクターや骨格診断士。心理カウンセラー資格のメンタル心理インストラクター、子供心理カウンセラー®、音楽療法カウンセラーや行動主義心理アドバイザー®など様々な資格を認定しています。
日本インストラクター技術協会編集部