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アシュタンガヨガとは?特徴や得られる効果・ルールを徹底解説

記事作成日:2024.12.12
「アシュタンガヨガってどんなヨガ?」
「アシュタンガヨガの効果が知りたい」

アシュタンガヨガは、流れるように呼吸と動きを連動させておこなう、ダイナミックなヨガです。
この記事では、アシュタンガヨガの特徴や効果、ポーズの流れなどを詳しく解説します。
アシュタンガヨガに興味のある人は、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。
アシュタンガヨガとは?特徴や得られる効果・ルールを徹底解説

目次

アシュタンガヨガとは?

アシュタンガヨガは、呼吸と動きを連動させて集中力を高め、深い瞑想へと導く伝統的なヨガの流派です。現代ヨガの基盤となり、多くの人気ヨガスタイルのベースにもなっています。

アシュタンガヨガは「アシュタンガの父」と呼ばれるティルマライ・クリシュナマチャリヤ師によって基盤が作られました。その弟子、シュリ・K・パタビジョイス師が現代社会に合わせた分かりやすい形に発展させたのです。
日本では、ケン・ハラクマ氏が正式指導資格者として第一人者とされています。

アシュタンガヨガは、運動量が多く、難易度の高いポーズ(アーサナ)が含まれるため、初心者よりも中級者から上級者向けとされています。
集中力を高めたい人や、しっかり身体を動かしたい中級者以上におすすめと言えるでしょう。

アシュタンガヨガの基盤「八支則(はっしそく)」

アシュタンガヨガの「八支則(はっしそく)」は、悟りに到達するまでの8つのステップを示したヨガ哲学の基盤です。

「アシュタンガ」とは「8本の枝」を意味し、八支則として訳されます。
ヨガについての思想を体系的にまとめた古典書「ヨーガ・スートラ」に記されており、悟りに向かうための具体的な実践法を段階的に示しています。

ヨガ哲学の深さに触れると、より充実した体験が得られるでしょう。
以下で詳しく解説していきます。

2-1ヤマ(禁戒)

ヤマ(禁戒)は、日常生活において避けるべき行動や言動を定めた5つの心得です。
ヨガを学ぶ上で、まず意識すべき重要な教えのひとつです。

アヒンサー(非暴力・非殺傷) ・怒りを抱えない
・言動で他者に暴力を加えない
サティヤ(嘘をつかない) ・言動と思考を一致させる
・自分を守るための嘘をつかない
アスティヤ(不盗) ・執着心を持たない
・自己中心的な行動をやめる
プラフマチャリヤ(禁欲) ・エネルギーを必要なところに集中させる
・利己的な欲を満たすことをやめる
アパリグラハ(不貪) ・物事に執着しない
・欲望を捨てる

ヤマでは、非暴力や不盗、禁欲など、日常生活で守るべき基本的な倫理が示されています。思考や言動を整え、他者や自分に対する誠実さを保つための基盤となるのです。

2-2ニヤマ(勧戒)

ニヤマとは、日常生活で実践すべき5つの心得で、心を整え、他者や自然への敬意を払うための教えです。これらを取り入れると、より豊かで平和な生活を送るヒントとなります。

シャウチャ(清浄)
・心身を清らかな状態に保つ
・ネガティブな思考を避ける
サントーシャ(満足)
・今の環境や能力、健康に満足し感謝する
・「当たり前」に感謝の心を持つ
タパス(苦行)
・苦しい状況を成長の糧として受け入れる
・自制心を持ち、目標に向かって努力する
スヴァディアーヤ(学習)
・心を良い方向に導く本を読む
・自己理解や知識を深める学びを続ける
イーシュヴァラ・プラニダーナ(信仰) ・自然や変化に身を任せる心を持つ
・感謝や尊敬の気持ちを忘れない

ニヤマの教えを日常に取り入れると、ストレスや不安に対処しやすくなります。
一つずつ実践を心がけ、心の平穏や生きる喜びを感じられる生活を目指しましょう。

2-3アーサナ(坐法)

アーサナ(坐法)は、瞑想を深めるための姿勢やポーズを指します。
身体を鍛錬し、心身を整えるための重要な実践法です。

「アーサナ」の語源は、道具や姿勢を意味する「アース」に由来します。
長時間の瞑想に耐えられるように、さまざまなポーズを通じて身体を鍛え、心を整えます。他者と比べることなく、自分自身に集中すると、身体能力の向上や精神の安定につながります。

アーサナは、単なるポーズの練習ではなく、瞑想を支える大切な土台です。ポーズや呼吸法を通じて自分自身に向き合い、心身の調和を目指してみてください。瞑想の時間がより充実したものになるでしょう。

2-4プラーナヤーマ(呼吸)

プラーナヤーマとは、呼吸を整え心身をリラックスさせ、瞑想を深めるための重要な実践法です。呼吸を安定させると、身体だけでなく心も落ち着き、リラクゼーション効果が高まります。

深い呼吸によって脳に酸素をしっかりと届けることで、集中力が向上し、瞑想が深まる助けとなります。
プラーナヤーマは、瞑想を深めるための重要な土台となります。日常生活の中でも意識的に呼吸を整える練習を取り入れ、リラックス効果や集中力の向上を実感できるでしょう。

2-5プラティヤーハーラ(感覚の制御)

プラティヤーハーラは、外側に向けている五感を内側へと向け、自身を深く見つめ、瞑想の境地に達するための実践です。

この教えは、外部の刺激から意識を切り離し、自分の内側に集中することを目指しています。感覚を内向きにすると、冷静に自分を客観視できるようになり、日々の出来事にも左右されない強い精神を養えるでしょう。

プラティヤーハーラを意識的に取り入れると、心を落ち着け、自分と向き合う力を高められます。

2-6ダーラナ(集中)

ダーラナとは、集中力を高め、その状態を持続させることを目指す教えです。
心を一点に集中させるため、大きなエネルギーを生み出すのです。

集中力が高まるほど、心が安定し、意識を向けた対象へのエネルギーが強くなります。ダーラナでは、この集中力の長時間維持を重要視しており、瞑想や内的な目標達成の基盤となります。

ダーラナの教えを日々の生活に取り入れ、集中力を鍛えてみましょう。一つの対象に意識を向け続ける練習を通じて、瞑想や目標達成へのパワーを高められます。

2-7ディヤーナ(瞑想)

ディヤーナとは、サンスクリット語で「瞑想」を意味し、感覚の制御や集中が自然とできるようになり、雑念から解放された状態を指します。
完全な瞑想の境地を目指す段階です。

ディヤーナは、感覚の抑制(プラティヤーハーラ)や集中(ダーラナ)が無意識に行えるようになり、心が雑念から解き放たれた状態です。この段階では、意識が静かに内面に向けられ、深いリラックスと洞察を得られるのが特徴です。

ディヤーナを実践するには、感覚の制御や集中の基盤を整えましょう。日常生活でも瞑想を取り入れると、心の平穏を育み、深いリラックスと内面の成長を目指してみましょう。

2-8サマーディ(三昧)

サマーディは、ヨガの最終目標であり、煩悩から解放され悟りの境地に達する状態を指します。長時間の瞑想を通じて到達できる心の完全な静寂と統一の状態です。

サマーディは、ヨガの8つの実践(アシュタンガ)の最後の段階であり、最終的な目的です。瞑想を深め、心身の調和が取れると、自己と世界が一体化した感覚を得られる境地に到達します。この状態では、外的な欲望や執着から解放され、心の安らぎと完全な集中が得られるでしょう。

サマーディは、一朝一夕で達成できるものではありませんが、瞑想やヨガを継続的に実践すると少しずつその境地に近づけます。日々の練習を通じて、自分の内面と向き合い、心の平和を育んでいきましょう。

アシュタンガヨガの5つの特徴

ここでは、アシュタンガヨガの特徴を5つご紹介します。

1.決められたポーズを順番通りに実施する
2.胸式呼吸法「ウジャイ呼吸」を用いる
3.運動量が多い
4.視点を固定する
5.始まりと終わりにマントラ(真言)を唱える

以下で詳しく解説していきます。

3-11.決められたポーズを順番通りに実施する

アシュタンガヨガは、呼吸と身体の動きを連動させながら、決められた順番でアーサナ(ポーズ)を流れるように実施します。
このヨガでは、6つのレベルに分かれたアーサナを段階的に練習するためです。

初心者は初級のプライマリーシリーズから始め、レベルをクリアするごとに、徐々に難易度の高いポーズに挑戦していきます。構造的なアプローチにより、柔軟性や体力を段階的に高めながら、ヨガの深い境地へと進めるでしょう。

初級から無理なくスタートし、自分のペースでレベルアップを目指しましょう。決められた順番を守ると、体力や柔軟性だけでなく、集中力や内面的な安定感も養えます。

3-22.胸式呼吸法「ウジャイ呼吸」を用いる

アシュタンガヨガでは、鼻から吸い、鼻から吐く「ウジャイ呼吸」という胸式呼吸を用います。ウジャイ呼吸法は、力強く深い呼吸を行うと、自律神経を整え、心身のバランスを促進します。

ウジャイ呼吸は「勝利の呼吸法」とも呼ばれ、吐く際に「シューッ」という音を立てるのが特徴です。この音に集中することで、注意力が高まり、呼吸が心地よく感じられるようになります。また、動きと連動させてこの呼吸を行うと、身体の内側から血行を促進し、内臓機能を活性化させる効果が期待できるでしょう。

心身のリフレッシュだけでなく、身体の内側からの健康促進を実感できるはずです。

3-33.運動量が多い

アシュタンガヨガは、呼吸と動きを連動させながら、ダイナミックに身体を動かすヨガです。

アシュタンガヨガでは、ポーズを流れるように切り替えながら全身を動かしていきます。そのため、「ヨガはゆっくりとした動きが中心で運動量が少ない」というイメージを持つ方にとっては、想像以上にハードなエクササイズと感じるでしょう。

アシュタンガヨガは、運動量を求める人やアクティブに身体を動かしたい人に特におすすめです。

3-44.視点を固定する

アシュタンガヨガでは、アーサナ(ポーズ)ごとに決められた視点(ドリシュティ)を固定することが大切です。集中力が高まり、注意が散漫になるのを防ぐためです。

視点が定まらないと意識が分散し、ポーズに集中するのが難しくなります。アシュタンガヨガでは、視点を特定の位置に固定すると、心を落ち着け、ポーズに深く集中できるようになります。
視点を固定すると、ポーズへの集中力が高まり、より深いヨガの効果を実感できるでしょう。

3-55.始まりと終わりにマントラ(真言)を唱える

アシュタンガヨガでは、始まりと終わりに「マントラ(真言)」を唱えるチャンティングを行います。これは感謝や平和、幸せを祈るサンスクリット語の言葉で、心身を整える重要な要素です。

チャンティングは、歌うようにマントラを唱えると、発する音のバイブレーションを身体で感じ、心をクリアにする効果があります。瞑想の助けになるだけでなく、ヨガの時間全体に一体感を与えます。
慣れるまでは抵抗を感じることもありますが、その効果を体感すると重要性を実感できるはずです。

アシュタンガヨガで得られる3つの効果

ここでは、アシュタンガヨガで得られる効果を3つご紹介します。

1.ダイエット効果
2.スタイルアップ
3.集中力を高める

以下で詳しく解説していきます。

4-11.ダイエット効果

アシュタンガヨガは、他のヨガに比べて運動量が多いため、エネルギー消費量も高く、ダイエットに最適です。

呼吸に合わせてポーズ(アーサナ)を流れるように行うスタイルが特徴で、心拍数が上がりやすい有酸素運動としての要素を持っています。そのため、脂肪燃焼効果が期待でき、ダイエット中の運動に適しています。

ダイエットを目的としてヨガを始めるなら、アシュタンガヨガを取り入れてみましょう。有酸素運動としての効果を実感しながら、無理なく身体を引き締められるでしょう。

4-22.スタイルアップ

アシュタンガヨガのアーサナを継続すると、インナーマッスルが鍛えられ、美しい姿勢と引き締まった体型が手に入るヨガです。

アシュタンガヨガは、インナーマッスルを効果的に刺激する動きが多いため、全身のバランスを整えながら、しなやかで美しいラインを作り出します。特にお腹周りの筋肉を鍛える効果が高く、ウエストの引き締めにもつながります。

腹部のインナーマッスルを鍛えるポーズを継続すると、ウエストラインに変化が現れるでしょう。スタイルアップを目指したい人は、アシュタンガヨガのアーサナを日々の習慣に取り入れてみてください。気付けば姿勢が整い、しなやかで引き締まった体型になっているでしょう。

4-33.集中力が高まる

アシュタンガヨガは、ポーズや視点が決められているため、自然と集中力が高まる効果があります。
アシュタンガヨガでは、視点を固定しながら練習を進めるため、意識が散漫になることを防ぎ、心を一点に集中できるからです。

集中力を高めたい人は、アシュタンガヨガがおすすめです。日々の練習を通じて、心の静けさや集中力の向上を実感してみましょう。

アシュタンガヨガのプライマリーシリーズの順番

プライマリーシリーズとは、アシュタンガヨガの第一シリーズで、特定の順序で一連のポーズ(アーサナ)を行う構成が特徴です。初心者でも簡単にできるポーズも含まれており、小さなスペースでも挑戦できるのが魅力です。

以下では、プライマリーシリーズのポーズについて詳しく解説します。

5-1太陽礼拝

アシュタンガヨガの最初に行う準備体操として、太陽礼拝のポーズがあります。
太陽礼拝で身体をほぐし、手足の先まで意識を向けながら練習をスタートしましょう。
太陽礼拝にはAとBの2種類があり、それぞれ3〜5回ずつ行うのが一般的です。

5-2立位のポーズ

立位のポーズは全部で13種類あります。

初心者でも取り組みやすい立位のポーズは、以下の4つです。

・パダングシュタアサナ(前屈して足の親指をつかむポーズ)
・ウッティタ・トリコナーサナ(三角のポーズ)
・ウトゥカターサナ(チェアポーズ)
・ヴィラバドラアサナ(英雄のポーズ)

上記のポーズを丁寧に行うと、身体全体をしっかりと動かせます。
身体全体を使ってポーズをとると、身体がすぐに温まり、自然と汗が出てくるでしょう。

5-3座位のポーズ

座位のポーズは全部で22種類あります。

初心者でも挑戦しやすいのは座位のポーズは以下の3つです。
・パスチマッタナアサナ(西向き前屈のポーズ)
・ナヴァーサナ(舟のポーズ)
・セツ・バンダーサナ(太鼓判のポーズ)

上記のポーズを丁寧に実践すると、体幹を鍛えながら柔軟性を高められます。
一見簡単そうに見えますが、美しくポーズを維持するには筋力が必要です。ポーズをとる際は、手足の先までしっかりと意識を向けて伸ばしましょう。

5-4終わりのポーズ

終わりのポーズは全部で13種類あります。

初心者でも取り組みやすい終わりのポーズは以下の3つです。

・肩立ちのポーズ
・胎児のポーズ
・ウトゥプルテ
ポーズを行う際は、呼吸を整えながらゆっくりと進める意識をしましょう。無理をせず、少しずつステップアップしていきましょう。

アシュタンガヨガは2種類ある

アシュタンガヨガには、クラスの形式が大きく2種類あります。
それぞれの特徴を理解すると、自分に合った方法でアシュタンガヨガを始められるでしょう。

ここでは、2種類のクラスについて詳しく解説していきます。

6-1インストラクターの指導でおこなう「レッドクラス」

レッドクラスは、インストラクターの指導でアシュタンガヨガのアーサナを順番通りに練習するスタイルのクラスです。

「レッド(Red)」は英語の「Lead(導く)」の受動態で、「導かれるクラス」という意味を持ちます。インストラクターがカウントしながら進めるため、一定のリズムで練習が進み、動きと呼吸の調和を体感しやすいのが特徴です。

アシュタンガヨガを効率的に学びたい人や、グループのペースで進めたい人には、レッドクラスがおすすめです。インストラクターの指示に従いながら、正確な動きとリズムを身につけましょう。

6-2自分のペースで自主練習する「マイソールスタイル」

マイソールスタイルは、インドのマイソール地域で伝統的に行われてきたヨガの練習方法です。
同じ場所でおこないますが、一人ひとりが自主練習をおこないます。インストラクターから生徒一人ひとりに合わせた丁寧なアドバイスが受けられるのが特徴です。

初心者から上級者まで、自分のペースで学びたい人は、マイソールスタイルのクラスがおすすめです。個別指導を受けながら、着実にスキルを高められるでしょう。

アシュタンガヨガを自分のペースで行い心身ともにリフレッシュしよう


ここまで、アシュタンガヨガの特徴や効果、ポーズの流れなどを詳しく解説してきました。
アシュタンガヨガは、ダイナミックな動きや体力を要するポーズが特徴で、体力向上や心身のリフレッシュに最適です。

アシュタンガヨガでは、ヨガの八支則に基づき、ポーズや呼吸、視線にいくつかのルールが設定されています。このルールに沿って練習すると、筋力や柔軟性が高まり、心の安定や集中力も得られるでしょう。また、流れるように途切れなくポーズを進めるため、運動量が多く、代謝を高める効果も期待できます。

今回の記事で紹介した簡単なポーズや初心者向けクラスを活用し、少しずつ練習を進めてみてください。習慣化すると、筋力や柔軟性の向上だけでなく、精神的な安定や集中力の向上も得られます。ぜひ、自分の変化や成長を楽しみながら、アシュタンガヨガにチャレンジしてみてください。

日本インストラクター技術協会編集部
インストラクターの専門性を高めるためや地位向上を目的とした団体である日本インストラクター技術協会(JIA)編集部が運営するコラムです。
美容・健康・ボディケアの資格の筋トレインストラクター、シェイプアップインストラクターや骨格診断士。心理カウンセラー資格のメンタル心理インストラクター、子供心理カウンセラー®、音楽療法カウンセラーや行動主義心理アドバイザー®など様々な資格を認定しています。
日本インストラクター技術協会編集部