ヨガインストラクターjp®資格

ヨガの歴史を徹底解説!発祥・起源から現代まで流れをわかりやすく紹介

記事作成日:2024.12.12
「ヨガの歴史はどのように始まったのか?」
「ヨガと瞑想の関係はどのようになっているのか?」

ヨガに興味のある人は、ヨガの歴史について疑問をお持ちではないでしょうか。
今では日本で主流であるヨガの起源は、なんと4500年前のインドにあるとされています。

この記事では、ヨガの発祥や歴史、流派など、ヨガについて深掘りしていきます。
ヨガの長い歴史を知ると、単なるエクササイズではなく、深い哲学と伝統に根ざした実践法であることが理解できます。ぜひ最後まで読んで、自分に合ったヨガを探し、魅力を体感してみてください。
ヨガの歴史を徹底解説!発祥・起源から現代まで流れをわかりやすく紹介

目次

ヨガの発祥・起源は?

ヨガの起源ははっきりとは特定されていませんが、紀元前2500年頃のインダス文明が始まりとされています。この時代、瞑想する神像やヨガのポーズに似た像が世界遺産「モヘンジョ・ダロ(現在のパキスタン)」から発見されており、これがヨガの起源を裏付けると考えられています。

「ヨガ」という言葉は、紀元前1000年〜紀元前500年頃に成立したとされるインドの哲学書『ウパニシャッド』に記されています。哲学書にはヨガは「精神統一によって五感や意識をコントロールする方法」と定義されています。インダス文明時代の文化が基盤となり、師匠から弟子へと何千年もの間継承され、現在のヨガの形に発展しました。

ヨガの歴史

ここでは、ヨガの歴史に触れていきます。

・世界的に見るヨガの歴史
・日本のヨガの歴史
・3度あった日本のヨガブーム

以下で詳しく解説していきます。

2-1世界的に見るヨガの歴史

ヨガは紀元前2500年頃のインダス文明に起源を持ち、長い年月を経て発展してきた修行法です。精神と体の統一を目的とし、その哲学や伝統は現代にも受け継がれています。

12〜13世紀頃には、ポーズ(アーサナ)、呼吸法(プラーナヤーマ)、瞑想を組み合わせた「ハタ・ヨガ」が誕生しました。
ハタ・ヨガは、太陽(陽)と月(陰)を結合させ、心と身体の調和を目指すもので、現代ヨガの原型とされています。

20世紀には、近代ヨガの父と呼ばれるティルマライ・クリシュナマチャリア氏が「アシュタンガヨガ」の基礎を築きました。この流派は弟子のシュリ・K・パタビジョイス氏によって発展し、1990年代にはアメリカで「パワーヨガ」としてブームを巻き起こしました。

ハタ・ヨガやアシュタンガヨガといったヨガの流派は、古代から受け継がれる哲学を基盤にしながら、時代や文化に合わせて進化しています。特に現代ヨガは、エクササイズだけでなく、ストレス解消や自己成長を目的としたものへと広がっています。

2-2日本のヨガの歴史

日本でのヨガの始まりは、806年頃に天台宗や真言宗の教祖である空海が中国から持ち帰ったことがきっかけです。その後、修行僧たちにより受け継がれ、現在のヨガスタイルへと発展しました。

当時、ヨガは単なる身体運動ではなく、精神修行の一環として天台宗や真言宗の修行僧たちに取り入れられました。呼吸法や瞑想など、心と身体を調和させる要素が宗教的実践と親和性が高かったため、日本で独自の形で受け継がれたのです。

宗教的な背景を持つヨガは、近代以降、健康やリラクゼーションを目的とするスタイルに変化し、多くの日本人に親しまれるようになりました。現在のヨガスタジオで行われているヨガも、これらの歴史的背景にルーツを持っています。

空海が持ち帰ったヨガは、宗教的修行を通じて深められ、哲学や技法が現代のライフスタイルにも適用される形で進化してきたのです。

2-33度あった日本のヨガブーム

ヨガは806年頃に日本に伝えられた後、3度のブームを経て普及しました。
宗教的背景からスタートした日本のヨガは、健康や美容、ストレスケアを目的とした現代的なヨガへと進化しました。

3度のブームの流れは、以下の通りです。
・第一次ブーム(1960年代)
テレビや映画でヨガが紹介され、主に女性を中心に注目されました。

・第二次ブーム(1990年代)
健康志向の高まりやストレス解消法としてヨガが再び注目され、多くのヨガ教室が開設されました。

・第三次ブーム(2000年代以降)
ハタ・ヨガやホットヨガ、パワーヨガなど多様なスタイルが登場し、若年層から高齢者まで幅広い年代に受け入れられています。

ヨガは日本独自の進化を遂げ、現代生活に溶け込んでいます。3度のブームを経て、多くの日本人のライフスタイルに取り入れられる存在となっています。

ヨガが世界的に広まった理由

ヨガが世界的に広まった理由は、時代や目的に合わせてその形を変え、多様なニーズに応えてきたからです。

ヨガが始まった頃は、エゴを取り除き、本来の自分を取り戻して神とつながることを目的とし、「瞑想」や「座禅」が中心でした。しかし、時代が進むにつれ、ヨガの流派が増え、対象者が幼児から高齢者、有名人、アスリートにまで広がり、ヨガの目的が多様化しました。


例えば、健康促進や病気予防、ダイエット、身体能力の向上を目指すヨガが登場し、近年では精神の安定や集中力向上といったメンタル面での効果も注目されています。ヨガは、時代とともに対象者やライフスタイルに合わせて進化してきたのです。

ヨガが広まった背景には、時代や目的に応じて柔軟に変化し、心と身体の両面で幅広い効果を提供できる実践法として受け入れられてきたことが大きく関係していると言えるでしょう。

ヨガの歴史上最古の根本教典「ヨーガ・スートラ」

ヨガの歴史を語る上で欠かせないのが、約2000年前に編纂されたとされる「ヨーガ・スートラ」です。
この教典は、ヨガの精神的実践を体系化したものであり、瞑想や心の統一を通じて自己の成長を目指す道を示しています。

以下で、詳しく解説していきます。

4-1ヨガに関する教えを表した最古の文献

ヨガの教えを体系化した「ヨーガ・スートラ」は、ヨガの精神的実践の基本を示した重要な経典です。
およそ2000年前に聖者パタンジャリが編纂した「ヨーガ・スートラ」は、ヨガの精神的教えをまとめた古典的な教典です。この中で、アシュタンガヨガの八支則(はっしそく)と呼ばれる8つの要素が解説されています。

「ヨーガ・スートラ」に記されている八支則は以下の通りです。

ヤマ 徳的規範
ニヤマ 自己規律
アーサナ ポーズ
プラーナヤーマ 呼吸のコントロール
プラティヤハーラ 感覚の制御
ダーラナ 集中
ディヤーナ 瞑想
サマディ 統合・合一

八支則は段階的なものではなく、同時に実践するべきものとされています。心身の調和を図り、魂の解放へと導くための方法として、古くから伝えられているのです。

4-2仏教の教えとの共通点

ヨーガ・スートラのアシュタンガヨガの八支則は、仏教の「八正道」と多くの類似点を持っています。どちらも道徳規範や瞑想を通じて精神を鍛え、最終的には魂の解放を目指す教えです。
アシュタンガヨガの八支則では、道徳規範や瞑想が重要な柱となっており、仏教の八正道と似ています。

例えば、ヨガが目指す「サマディ(統合)」は、仏教で言う「ニルヴァーナ(悟り)」と通じる概念です。この共通点から、ヨガと仏教は精神修養の道として共通の目的を持つとされています。

4-3ヨーガ・スートラは精神的実践を重視している

ヨーガ・スートラは、現代ヨガで一般的なアーサナ(ポーズ)練習については詳しく触れられていません。
代わりに、瞑想や精神的統一といった内面的な修養が重視されています。
現在行われているアーサナの練習は、ヨーガ・スートラが書かれた後に発展したインドの他の伝統に基づいています。そのため、ヨーガ・スートラは、ポーズの練習ではなく、精神的統一を目指すための理論と実践を提供するものとされているのです。

「ヨーガ・スートラ」は、ヨガを単なる身体運動ではなく、心と魂の統一を目指す精神的修養の道と捉えるためのガイドブックといえるでしょう。

伝統的な四大ヨガ

ヨガの本質の基盤となるのが、古代インドの伝統的な「四大ヨガ」です。
それぞれのヨガは独自のアプローチで心身に働きかけ、異なる側面から人生を豊かにしてくれます。

・ジュニャーナヨガ(知識のヨガ)
・バクティヨガ(愛と献身のヨガ)
・カルマヨガ(行動のヨガ)
・ラージャヨガ(王のヨガ)

以下で詳しく解説していきます。

5-1ジュニャーナヨガ(知識のヨガ)

ジュニャーナヨガは、瞑想や聖典の学習を通じて「わたしは何者か?」という問いに向き合い、知性を高めるヨガです。生命の目的を理解し、自己の本質に気づくことを目指します。

ジュニャーナヨガでは、深い瞑想や哲学的な探求を通じて、自らの内面を見つめ直し、真実の自己と向き合います。

ジュニャーナヨガを実践するには、以下のようなアプローチがあります。

・瞑想:毎晩一定の時間を瞑想に充て、自分自身と向き合う
・聖典の学習:ヨガの古典的な文献や哲学書を読み、その内容を日々の生活に活かす

実践を通じて、知識を深め、精神的な成長を目指します。

ジュニャーナヨガでは、知識や哲学的な思索を重視するため、自己の本質や生命の目的について深く理解したい人におすすめのヨガです。

5-2バクティヨガ(愛と献身のヨガ)

バクティヨガは、無条件の愛と献身を神に捧げることで、心の内側にある純粋な愛を深め、神との一体感を目指します。

バクティヨガは、祈りや瞑想、礼拝、歌、踊りなどを通じて、神への感謝や愛を表現するのが特徴です。自分の心を浄化し、精神的な成長を促します。

バクティヨガの実践方法

・祈りや瞑想:毎朝、神への感謝を込めた祈りや瞑想を行う
・聖歌やダンス:聖歌を歌ったり、神聖なダンスを踊ることで、愛と献身を表現する
・日常生活での感謝の習慣:日々の行動や思考の中で、神への感謝を意識する

実践を通じて、心がより平和で満たされた状態へと導かれます。

バクティヨガは、心を穏やかにし、神とのつながりを強めるためのヨガです。無条件の愛と献身を実践すると、自分自身の内面と向き合いながら、日々の生活をより豊かにする助けとなるでしょう。

5-3カルマヨガ(行動のヨガ)

カルマヨガは、自己中心的な欲求や物欲を手放し、無私の心での行動を大切にします。行動そのものを神聖な修行と捉え、周囲のために尽くす奉仕の精神を養うものです。

「カルマ」とはサンスクリット語で「行為」や「奉仕」を意味します。カルマヨガでは、行為の成果や報酬に執着することなく、それを神に捧げることでエゴを昇華させます。この実践によって、自分の内面を磨き、精神的な成長を遂げることができます。

カルマヨガの実践方法

・ボランティア活動:地域社会や他者のために奉仕活動を行う
・無償の行為:見返りを求めず、誰かの役に立つ行動を日常生活に取り入れる
・感謝の心を持つ:自分の行為を神から与えられた使命と考え、全てを捧げる気持ちで取り組む

カルマヨガは、日常の行動を神聖な修行として捉え、自分の内面を磨き、精神的な充実感を得るヨガです。見返りを求めない奉仕の心を持つことで、周囲とのつながりが深まり、自分自身も成長できるでしょう。

5-4ラージャヨガ(王のヨガ)

サンスクリット語で「王者」を意味するラージャヨガは、ヨガの経典ヨーガ・スートラを基に体系化された古典的なヨガです。
目的は、心をコントロールし、神の意識に到達すると、本格的な精神修行として位置づけられています。

ラージャヨガでは、アシュタンガヨガ(八支則)という8つの段階を通じて、心身の調和と精神的成長を図ります。

この段階は以下の通りです。

ヤマ(禁戒) 非暴力や誠実さなどの倫理的な規律
ニヤマ(勧戒) 内面的な規律、例えば清潔さや満足感を重視すること
アーサナ(座法) 身体を整えるためのポーズ
プラーナーヤーマ(呼吸法) 生命エネルギーをコントロールする呼吸法
プラティヤハーラー(制感) 外部刺激から感覚を切り離す練習
ダーラナ(集中 特定の対象に意識を集中させる訓練
ディヤーナ(瞑想) 心を静め、内面と向き合う深い瞑想
サマーディー(三昧) 心が完全に統一され、神との合一を目指す境地

ラージャヨガを実践するには、心の制御を重視し、瞑想や倫理的な生活を通じて精神的な成熟を目指します。単なる運動を超え、内面と向き合い、神との一体感を感じる深いヨガの実践法です。
ラージャヨガの奥深い教えを学ぶと、日々の生活や精神の在り方に新たな気づきを得られるでしょう。

四大ヨガから派生した現代ヨガ

古典ヨガを基盤に発展し、現代のライフスタイルに取り入れられるようアレンジされたスタイルを、一般的に「現代ヨガ」と呼びます。しかし、その中には伝統を重視した種類も多く、古典ヨガと現代ヨガの明確な線引きは難しいと言われています。

主なスタイルは以下の通りです。
・古典ヨガを基に進化:古典的な教えを守りつつも、現代人に合った形で取り入れられたスタイル
・伝統と革新が融合:どちらか一方だけでなく、両者の要素がバランスよく含まれているスタイル


以下に代表的なヨガの種類を一覧にしていますので、興味があるものを参考にしてみてください。

ヨガ名 特徴
アシュタンガヨガ 「ヨーガ・スートラに記されている八支則に基づいた心身を鍛えるエネルギッシュで高度なヨガスタイル
ビクラムヨガ 40℃前後の高温多湿の部屋で、26の固定ポーズと2つの呼吸法を行うヨガ
アイアンガーヨガ 正確なポーズと補助具を用いて、身体のアライメントを重視するヨガ
ハタヨガ 現代ヨガの基礎ともいえる、呼吸とポーズを通じて心と身体を整えるヨガ
沖ヨガ 日本人ヨガ指導者・沖正弘氏が日本文化や武道のエッセンスを取り入れた独自のヨガ
シヴァナンダヨガ 瞑想、呼吸法、12の基本ポーズを含む癒しのヨガ
エアリアルヨガ 布やハンモックを使って空中で行うヨガ
リストラティブヨガ 補助具を用いて、身体を完全にリラックスさせる静的なヨガ
陰ヨガ 1つのポーズを3〜5分間保持し、結合組織や深層筋にアプローチするヨガ

それぞれの流派によって、考え方やポーズも変わるので体験した上で自分に合ったヨガを見つけましょう。

伝統ヨガと現代ヨガの違い

伝統ヨガと現代ヨガの違いは大きく3つあります。

・姿勢やポーズの違い
・伝え方の違い
・心への働きかけ方の違い

以下で、一つずつ詳しく解説していきます。

7-1姿勢やポーズの違い

伝統ヨガと現代ヨガは目的やアプローチが異なり、それぞれに特徴があります。

伝統ヨガは「内側の変容」を追求し、自己成長を目的とするのに対し、現代ヨガは「外見の改善」を目的とし、体型や健康維持を重視する傾向があります。

伝統ヨガは心の変容、現代ヨガは身体の向上という異なるゴールに向かうヨガです。
自分に合ったスタイルを選び、心身のバランスを整えるために取り組んでみましょう。

7-2伝え方の違い

伝統ヨガと現代ヨガは、生徒への指導方法に違いがあります。

伝統ヨガの指導者は、生徒一人ひとりの進度やニーズに合わせた個別指導を重視します。
生徒の成長を見守りながら、経験を通じて深い学びを促すことが特徴です。一方で、現代ヨガは、グループレッスンが主流で、個別指導やフィードバックの機会が限られる場合が多いです。学びを深めたい場合は、自らワークショップや講座を探して参加する必要があります。

初心者の多くは「どのクラスを選べば良いかわからない」と迷ってしまいますが、スタジオ側も「はじめてのヨガ」「初心者向けヨガ」といったクラス名でサポートしています。まずは、やさしそうなクラス名のレッスンから始めるのがおすすめです。

7-3心への働きかけ方の違い

伝統ヨガと現代ヨガでは、心への働きかけ方に違いがあります。

伝統ヨガでは「心を静める」「自分自身と向き合う」といった深い瞑想を重視します。一方で、現代ヨガでは「ストレスを手軽に解消する」「今日もすっきりした」といったリセット感を提供するクラスが一般的です。

伝統ヨガは心の内面を深める道、現代ヨガは心を整える実用的な手段として、それぞれの効果を持っています。

ヨガの歴史を理解し好きな流派ではじめてみよう!


ここまで、ヨガの発祥や歴史、流派など、ヨガについて深掘りしてきました。
ヨガは約4500年の歴史を持ち、古代インダス文明から始まり、ヨーガ・スートラやバガヴァッド・ギーターといった教典を通じて進化してきました。それぞれの流派やアプローチには、独自の特徴があり、心と身体を統合する方法が異なります。

伝統的な四大ヨガは、哲学的な探求から瞑想、奉仕までさまざまな実践を含みます。また、ハタヨガなど現代ヨガの基盤となるスタイルも、歴史的背景の中で発展してきました。現在のヨガがどのように形作られたかを理解し、自分に合ったスタイルを選べるでしょう。

ヨガの歴史を知ると、ただ身体を動かすだけでなく、心と身体の深い調和を実現する道が広がります。ぜひ、ヨガの起源や流派を理解しながら、自分に合ったスタイルでヨガを始めてみましょう。

日本インストラクター技術協会編集部
インストラクターの専門性を高めるためや地位向上を目的とした団体である日本インストラクター技術協会(JIA)編集部が運営するコラムです。
美容・健康・ボディケアの資格の筋トレインストラクター、シェイプアップインストラクターや骨格診断士。心理カウンセラー資格のメンタル心理インストラクター、子供心理カウンセラー®、音楽療法カウンセラーや行動主義心理アドバイザー®など様々な資格を認定しています。
日本インストラクター技術協会編集部