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刺繡糸は何種類?メーカー別の違いやおすすめの選び方を解説

記事作成日:2025.03.07
刺繍を始めようと思った時、まず直面するのが刺繍糸選びの悩みではないでしょうか。手芸店の棚には様々なメーカーの刺繍糸が並び、それぞれに異なる特徴があります。初心者の方は「どの糸を選べばいいの?」「メーカーによって何が違うの?」といった疑問を持つことでしょう。本記事では、刺繍糸の種類やメーカー別の特徴、そして用途に応じた選び方について詳しく解説していきます。
刺繡糸は何種類?メーカー別の違いやおすすめの選び方を解説

目次

刺繍糸の基礎知識

刺繍糸について知っておくべき基本的な情報をご紹介します。初心者の方でも理解しやすいよう、順を追って説明していきます。

1-1刺繍糸って何?初心者向け基本説明

刺繍糸は、一般的な裁縫用の糸とは異なり、刺繍専用に作られた特殊な糸です。通常の縫い糸と比べて太く、光沢があり、色のバリエーションも豊富です。刺繍糸は複数の細い糸を撚り合わせて作られており、その本数を調整することで、様々な太さの表現が可能です。 特に重要なのは、刺繍糸には「撚り」と呼ばれる特殊な加工が施されていることで、これにより糸のツヤや強度が調整されています。 また、刺繍糸は通常の裁縫糸と異なり、引っ張りに対する強度が考慮されており、刺繍特有の力のかかり方にも耐えられるよう設計されています。さらに、刺繍糸は染色方法も特殊で、色落ちしにくい加工が施されているものが多いのも特徴です。

1-2刺繍糸の主な4つの種類

刺繍糸の世界は実に奥深く、素材によってそれぞれ異なる特性を持っています。主な種類としては、以下の4つがあります。 ・ポリエステル糸 耐久性に優れ、日常使いの作品に適しています。洗濯や日光による色あせにも強く、特に子供服や頻繁に洗濯する必要がある小物作りに最適です。 ・コットン糸 最も一般的で、自然な風合いが特徴です。肌触りが良く、吸湿性も高いため、衣類やタオルなどの実用的な作品に向いています。 ・レーヨン糸 光沢が美しく、華やかな作品に向いています。特に光の当たり方によって表情が変化するため、特別な場面で使用する作品に適しています。 ・ウール糸 温かみのある表現が可能で、特に冬物の作品に適しています。また、それぞれの糸には独特の風合いがあり、作品の雰囲気作りに大きく影響します。さらに、これらの糸を組み合わせることで、より豊かな表現が可能になります。

1-3刺繍糸の番手を理解しよう

刺繍糸の番手は、糸の太さを示す重要な指標です。番手の数字が大きいほど糸は細くなり、小さいほど太くなります。一般的に使用される25番は、6本の糸を撚り合わせた状態で販売されており、用途に応じて糸の本数を調整して使用します。 特に初心者の方は、この25番糸から始めることをおすすめします。なぜなら、扱いやすく、様々な技法に対応できるからです。また、番手によって刺繍の表情も大きく変わります。 太い番手を使用すると立体感のある大胆な表現が可能になり、細い番手では繊細で細やかな表現ができます。さらに、同じデザインでも番手を変えることで、全く異なる印象の作品を作ることができます。これは刺繍の奥深さを感じられる要素の一つといえるでしょう。

1-4刺繍糸の構造について

刺繍糸の構造を理解することは、より美しい作品作りの基礎となります。一般的な刺繍糸は6本の細い糸で構成されており、これを用途に応じて2本や3本に分けて使用します。 糸を分ける際は、まっすぐに引き出すことで、よれることなくきれいに分けることができます。より糸の方向も重要で、これを意識することで、より美しい仕上がりを実現できます。特に重要なのは、糸を分ける際の手順と技術です。 まず、糸束の端をつまみ、反対側をゆっくりと引き出すことで、糸がよれることを防ぐことができます。また、分けた糸は使用直前まで撚りを保つことが大切です。長時間放置すると糸がほぐれてしまい、作業効率が低下する可能性があります。さらに、刺繍中も糸の撚りの方向を意識することで、より均一な仕上がりを実現することができます。

主要メーカーの特徴と比較

刺繍糸のメーカーによって、色合いや使い心地に大きな違いがあります。ここからは、主要メーカーの特徴について詳しく見ていきましょう。

2-1DMC刺繍糸の魅力

DMCはフランスの老舗メーカーで、200年以上の歴史を持つブランドです。その特徴は、鮮やかな発色と美しい光沢にあります。糸は適度な張りがあり、初心者でも扱いやすいのが特徴です。色数は500色以上あり、グラデーションや微妙な色の違いを表現したい場合に重宝します。特に華やかな印象を与える作品や、クロスステッチなどの技法に適しています。 また、DMCの糸は品質管理が特に厳密で、世界中のプロの刺繍作家からも高い評価を得ています。糸の太さのばらつきが少なく、作品全体の統一感を出しやすいのも特徴です。 さらに、カラーチャートが充実しており、色選びの際の参考にしやすいことも魅力の一つです。長年の実績があるため、廃番になりにくく、同じ色を後から追加購入する際も安心です。

2-2OLYMPUS刺繍糸の特徴

オリムパスは日本のメーカーで、日本人の感性に合った色合いが特徴です。糸にはほど良い張りがあり、作業がしやすく、初心者の方にもおすすめです。特に和風の作品に適した落ち着いた色合いが豊富で、日本の四季を表現したい時に重宝します。また、蛍光色などポップな色も充実しており、明るい印象の作品作りにも向いています。 特筆すべきは、和風の刺繍に特化したカラーバリエーションの豊富さです。着物や和小物の刺繍に最適な、渋めの色合いから優しいパステルカラーまで、幅広い選択肢があります。また、技術サポートも充実しており、初心者向けの刺繍キットや解説書も多く提供しています。さらに、日本の気候を考慮した耐久性の高さも、オリムパス刺繍糸の魅力の一つです。

2-3COSMO刺繍糸の世界

COSMO刺繍糸は、優しい色合いと柔らかな質感が特徴です。特にパステルカラーが充実しており、ナチュラルな雰囲気の作品作りに適しています。糸は柔らかく、手触りが良いため、赤ちゃん用品や肌に直接触れる小物作りに向いています。また、色落ちが少なく、洗濯にも強いという特徴があります。 COSMOならではの特徴として、季節限定カラーの展開があり、その時々の流行や季節感を取り入れた作品作りが可能です。また、他のメーカーにはない独特の中間色が豊富で、繊細な色の表現が可能です。 さらに、糸の撚りが緩やかなため、ふんわりとした優しい印象の刺繍が作りやすく、特に花や風景の表現に適しています。糸の表面がマットで自然な風合いを持つため、ナチュラルテイストの作品に最適です。

2-4アンカー刺繍糸を知ろう

アンカー刺繍糸はドイツの老舗メーカーの製品で、高い品質と豊富な色展開が特徴です。特にマットな質感が魅力で、落ち着いた雰囲気の作品作りに向いています。糸は適度な張りがあり、作業性も良好です。色の発色は控えめですが、その分深みのある仕上がりになります。特筆すべきは、アンカー刺繍糸の染色技術の高さです。 色のバリエーションは豊富でありながら、どの色も上品で落ち着いた印象を与えます。また、糸の強度が非常に高く、何度も刺し直しても毛羽立ちにくいという特徴があります。さらに、ヨーロッパの伝統的な刺繍パターンに最適な色展開があり、クラシカルな作品作りに特に重宝します。環境に配慮した染色方法を採用しているのも、現代的なブランドの特徴といえます。

刺繍糸のおすすめの選び方!

ここからは、具体的な刺繍糸の選び方について、詳しく解説していきます。用途や好みに合わせた最適な選択ができるよう、ポイントを押さえていきましょう。

3-1初心者の方への選び方アドバイス

刺繍を始めたばかりの方にとって、最も重要なのは扱いやすい糸を選ぶことです。初めは光沢が控えめで、適度な張りのある糸を選ぶことをおすすめします。特にDMCやオリムパスの25番刺繍糸は、初心者の方でも扱いやすく、作品作りの基本を学ぶのに適しています。色選びについては、まずは基本的な色から始めて、徐々にバリエーションを増やしていくことをお勧めします。 また、作品制作に必要な本数は、図案のサイズや密度によって変わってきますが、一般的な小物であれば同じ色で2~3束あれば十分です。特に初心者の方は、糸の取り扱いに慣れるまでは、絡まりにくい定番メーカーの糸を選ぶことで、スムーズに技術を習得できます。 さらに、初めての購入では、基本的な色セットが揃った初心者向けキットを選ぶと、必要な色が一通り揃うため便利です。また、練習用の糸と本番用の糸を分けて用意することで、失敗を恐れずに練習に取り組むことができます。

3-2用途別おすすめの選び方

用途に応じた適切な刺繍糸の選択は、作品の仕上がりを大きく左右します。日常的に使用する小物の場合は、耐久性の高いポリエステル糸やしっかりとした撚りのコットン糸がおすすめです。特にCOSMOやオリムパスの糸は、洗濯にも強く、色落ちも少ないため、ハンカチやポーチなどの実用的な作品に適しています。 プレゼント用の作品では、DMCやアンカーの光沢のある糸を使うことで、より華やかな印象に仕上がります。また、長期保存を考慮する場合は、変色や劣化の少ない高品質な糸を選ぶことが重要です。 インテリア作品の場合は、作品の雰囲気に合わせて糸を選びましょう。和風の作品にはオリムパス、ヨーロピアンテイストの作品にはDMCというように、メーカーの特徴を活かした選び方をすると良いでしょう。さらに、販売用の作品を作る場合は、耐久性と見栄えのバランスを考慮し、信頼性の高いメーカーの糸を選ぶことをおすすめします。

3-3作品の雰囲気による選び方

作品の雰囲気を決定づける重要な要素が、刺繍糸の色合いと質感です。ナチュラルな作品を作る場合は、COSMOの優しい色合いの糸が適しています。マットな質感と落ち着いた色調が、自然な風合いを演出してくれます。華やかな印象を出したい場合は、DMCの鮮やかな発色と美しい光沢が効果的です。 和風作品では、オリムパスの日本の四季を意識した色展開が重宝します。色の組み合わせも重要で、同系色でまとめるか、あえて対照的な色を使うかで、作品の印象が大きく変わります。季節感を表現する際は、その季節を象徴する色を中心に選び、周辺の色でグラデーションを作ることで、より豊かな表現が可能になります。 また、刺繍糸の光沢の有無も作品の印象に大きく影響するため、作品のコンセプトに合わせて慎重に選びましょう。特に、光の当たり具合によって表情が変わることも考慮に入れると、より効果的な作品作りが可能になります。

3-4布の種類による選び方

布の種類によって、最適な刺繍糸は異なってきます。薄手の布に刺繍する場合は、細めの糸を使用し、本数も2~3本に抑えることで、布地を傷めることなく繊細な表現が可能です。 厚手の布では、しっかりとした太さの糸を選び、本数も多めに使うことで、存在感のある刺繍が実現できます。デニムなどの特殊な布に刺繍する場合は、強度のある糸を選ぶことが重要です。特にDMCやアンカーの糸は強度が高く、丈夫な布地との相性が良いです。 また、伸縮性のある布に刺繍する場合は、やや余裕を持たせて刺すことで、布の動きに対応できます。ニット生地には柔らかい糸を選び、布の特性を活かした刺繍が可能です。さらに、刺繍布の色味によっても、糸の見え方が変わってくるため、実際に布の上で色合わせをしてから糸を選ぶことをおすすめします。

メーカー品と100均刺繍糸の違いを知ろう

メーカー品と100均の刺繍糸では、品質や使用感に大きな違いがあります。ここでは、それぞれの特徴と使い分けのポイントについて詳しく解説していきます。

4-1品質の違いを理解する

メーカー品と100均の刺繍糸では、まず糸の太さの均一性に大きな違いがあります。メーカー品は一定の太さが保たれているのに対し、100均の刺繍糸は糸の太さにばらつきがあることが多く、これが刺繍作業時の扱いやすさに影響を与えます。色落ちの面でも違いがあり、メーカー品は耐光性や洗濯に対する耐久性が高いのに対し、100均の糸は比較的早く色あせする傾向にあります。 また、光沢の質にも大きな違いがあり、メーカー品は上品な輝きがある一方で、100均の糸は光沢にムラが出やすい特徴があります。さらに、撚りの強さも異なり、メーカー品は適度な撚りが保たれているため、作業中に糸がほぐれにくく、長時間の作業でも品質が維持されます。また、糸の表面の滑らかさも異なり、メーカー品は布地を傷めにくい加工が施されています。

4-2コスパを考えた使い分け

価格面では100均の刺繍糸が圧倒的に安価ですが、用途に応じた使い分けが重要です。練習用として使用する場合、基本的なステッチの練習や色合わせの実験には100均の刺繍糸で十分です。 一方で、大切な作品や長く使用するものには、品質の安定したメーカー品を選ぶことをお勧めします。初心者の方の予算配分としては、まず基本的な色のメーカー品を揃え、練習用や試し刺しには100均の糸を活用するという方法が効率的です。 また、作品の規模によっても使い分けを考慮すると良いでしょう。小さな作品や一時的な使用であれば100均の糸でも問題ありませんが、大きな作品や細かい模様を刺す場合は、品質の安定したメーカー品を選ぶことで、作業効率が上がり、結果的にコストパフォーマンスが良くなることもあります。

4-3100均刺繍糸の上手な使い方

100均の刺繍糸は、適切に使用すれば十分に活用できます。特に、新しいステッチの練習や、色合わせの確認、一時的な使用を目的とした作品には向いています。 ただし、使用時には糸が絡まりやすい、色落ちしやすいといった特徴があることを念頭に置く必要があります。保管の際は、直射日光を避け、湿気の少ない場所で保管することで、より長く使用することができます。 また、100均の刺繍糸でも、使用前に水通しをすることで色落ちを軽減できます。さらに、糸を短めに切って使用することで、絡まりを防ぐことができます。試作品や見本作り、色の配置を確認するためのサンプル制作など、実験的な作品作りには特に適しています。初心者の方が刺繍の基本的な技法を習得する際の練習用としても、気軽に使えるのが魅力です。

刺繍糸の正しい管理方法

適切な管理方法を知ることで、刺繍糸を長く美しい状態で保つことができます。ここでは、刺繍糸の正しい管理方法をご紹介します。

5-1保管方法のコツ

刺繍糸を美しい状態で保つためには、適切な保管環境が不可欠です。理想的な保管場所は、直射日光が当たらず、温度と湿度が安定している場所です。刺繍糸は光や熱に敏感で、特に色物の糸は日光により色あせしやすいため、注意が必要です。収納グッズを選ぶ際は、糸が絡まないよう、一束ごとに区切りのある収納ケースがおすすめです。 色番号ごとに整理することで、必要な糸をすぐに取り出せるようになります。また、防虫剤の使用も重要で、特に天然素材の糸は虫害を受けやすいため、定期的なチェックと対策が必要です。 整理整頓のポイントとして、使用頻度の高い色を手の届きやすい位置に置くことで、作業効率が上がります。さらに、収納ケースには除湿剤を入れることで、湿気による劣化を防ぐことができます。

5-2色あせ・色落ち対策

刺繍糸の色あせや色落ちを防ぐには、日常的なケアが重要です。特に濃い色の糸は色落ちしやすいため、初回の洗濯時には単独で水通しすることをおすすめします。洗濯の際は中性洗剤を使用し、優しく手洗いすることで、糸の品質を保つことができます。また、乾燥時は直射日光を避け、陰干しすることで色あせを防ぐことができます。 長期保存する場合は、色番号ごとに小分けにして保管し、光や空気との接触を最小限に抑えることが効果的です。また、使用前に糸の色落ちテストを行うことで、作品への色移りを防ぐことができます。さらに、保管時には色の似た糸同士を近くに置かないようにすることで、湿気による色移りも防ぐことができます。

5-3刺繍作業をスムーズに進めるために

刺繍作業中によく起こるトラブルへの対処法も押さえておきましょう。もつれた糸は、根気よくほぐすことが大切です。無理に引っ張ると糸が傷んでしまうため、ゆっくりと丁寧にほぐしていきます。変色してしまった糸は、基本的に元に戻すことは難しいため、予備の糸を用意しておくことをおすすめします。また、使用中に糸が絡まってしまった場合は、いったん作業を中断し、糸を整えてから再開することが賢明です。 湿気対策としては、防湿剤を収納ケースに入れることで、カビの発生を防ぐことができます。また、糸が硬くなってしまった場合は、一時的に高湿度の環境に置くことで、柔軟性を取り戻すことができます。さらに、長期保存していた糸を使用する際は、事前に状態をチェックし、必要に応じてアイロンをかけることで、より扱いやすくなります。

まとめ

刺繍糸の選び方は、作品の仕上がりを左右する重要な要素です。初心者の方は、まず基本的なメーカー品の刺繍糸から始めて、徐々に自分の好みや用途に合わせて種類を増やしていくことをおすすめします。品質の良い刺繍糸を選び、適切に管理することで、より美しい作品作りが可能になります。また、実際に使ってみることで、各メーカーの特徴や使い心地の違いを実感できるでしょう。 メーカーごとの特徴を理解し、作品の目的や好みに合わせて最適な糸を選ぶことで、刺繍作品の魅力をより一層引き出すことができます。ぜひ、本記事を参考に、自分に合った刺繍糸を見つけ、素敵な作品作りを楽しんでください。刺繍の世界は奥深く、新しい発見の連続です。様々な糸を試してみながら、自分らしい作品作りを深めてください。

日本インストラクター技術協会編集部
インストラクターの専門性を高めるためや地位向上を目的とした団体である日本インストラクター技術協会(JIA)編集部が運営するコラムです。
美容・健康・ボディケアの資格の筋トレインストラクター、シェイプアップインストラクターや骨格診断士。心理カウンセラー資格のメンタル心理インストラクター、子供心理カウンセラー®、音楽療法カウンセラーや行動主義心理アドバイザー®など様々な資格を認定しています。
日本インストラクター技術協会編集部