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刺繍糸に針が通らない!通し方のコツや糸通しの使い方を解説

記事作成日:2025.03.07
刺繍を始めようと思って、まず最初の関門である「糸を針に通す」ところで挫折してしまった経験はありませんか?特に刺繍糸は普通の裁縫糸と違って複数の細い糸が撚られているため、針穴に通すのが一苦労です。 せっかく素敵な図案を見つけて、可愛い刺繍糸も揃えたのに、この最初の工程で手こずってしまうのは本当に残念ですよね。本記事では、刺繍糸を簡単に針に通すためのコツと、便利な道具の使い方について詳しく解説していきます。
刺繍糸に針が通らない!通し方のコツや糸通しの使い方を解説

目次

刺繍で糸が通りにくいのはなぜ?

刺繍は布に色とりどりの糸で模様を描き出す、魅力的な手芸の一つです。しかし、その作業の第一歩である「糸を針に通す」という基本的な工程でつまずいてしまう方が多くいらっしゃいます。特に刺繍糸は、普通の裁縫糸とは異なる特徴を持っているため、初めて扱う方にとっては難しく感じるかもしれません。ベテランの刺繍愛好家でも、時には糸通しに苦労することがあるのです。

1-1刺繍糸と針の基本知識

刺繍糸は6本の細い糸が撚り合わされて1本になっているという特徴があります。一般的な裁縫糸とは異なり、用途に応じてこの6本をばらして、2本や3本など必要な本数を選んで使用します。 このため、糸先がほぐれやすく、針穴に通すのが難しいと感じる方が多いのです。刺繍糸は色鮮やかで美しい光沢があり、作品の仕上がりに大きく影響を与えます。そのため、糸選びの段階から慎重に行うことが、美しい作品作りの第一歩となります。 一方で刺繍針は、通常の縫い針と比べて針穴が大きめになっています。これは複数本の刺繍糸を通せるようにするための工夫なのですが、それでもただ漫然と糸を通そうとしても、なかなかうまくいかないものです。 刺繍針には様々な種類があり、用途に応じて適切なものを選ぶ必要があります。特に、刺繍する布地の厚さや、使用する刺繍糸の本数によって、針の太さや長さを変えることで、より快適に作業を進めることができます。

1-2なぜ糸が通りにくいのか

刺繍糸が針に通りにくい理由は主に三つあります。 まず一つ目は、先ほど説明した通り、刺繍糸が複数の細い糸で構成されているという特性です。二つ目は、その構造上、糸先がすぐにほつれてしまいやすいということです。そして三つ目は、通常の裁縫と違って複数本の糸を同時に通す必要があるため、太さが均一になりにくいという点です。 初心者の方は特に、これらの特徴に戸惑うことが多いようです。しかし、適切な道具と正しい知識があれば、誰でも簡単に糸通しができるようになります。まずは基本的な特徴を理解し、少しずつ練習を重ねていくことが大切です。

糸を通すための基本的なコツ

針に糸を通すのに難しさを感じる方のために、まずは特別な道具を使わない基本的なコツをご紹介します。これらの方法は、古くから刺繍愛好家たちに受け継がれてきた知恵であり、特別な準備や道具がなくても実践できる技です。初心者の方はもちろん、ベテランの方にとっても、これらの基本的なコツを知っておくことは大切です。

2-1糸先を整える方法

刺繍糸を針に通す際、最も重要なのは糸先をきれいに整えることです。以下の手順で作業を進めていくと、より簡単に糸を通すことができるようになります。 ・はさみで糸先を斜めに切る ・指先で糸をまっすぐに揃える ・糸を軽く撚る ・必要に応じて糸先を整え ・切り口を確認する 糸先を整えることは、糸通しの成功率を大きく左右します。特に刺繍糸は複数の細い糸で構成されているため、丁寧に整えることが重要です。はさみで切る際は、できるだけ鋭利なものを使用しましょう。 切れ味の悪いはさみを使うと、かえって糸先がほつれやすくなってしまいます。また、糸を整える際は、強く引っ張りすぎないように注意が必要です。強い力を加えると、糸がほつれたり、撚りがほどけたりする原因となります。

2-2折りグセをつける技法

折りグセをつける方法は、刺繍糸を針に通す際の定番テクニックの一つです。この方法を使うことで、まっすぐな状態で糸を通すよりも、はるかに簡単に作業を進めることができます。 ・糸の先端を2センチほど折る ・折り目をしっかりとつける ・針穴に折った部分を通す ・できた輪を引っ張る ・糸が通るのを確認する 折りグセをつけることで、糸先が固定され、ほつれにくくなるという利点があります。また、折った部分が針穴に引っかかりやすくなるため、通しやすくなります。ただし、あまり強く折りすぎると、糸が傷んでしまう可能性があるので、適度な力加減で行うことが大切です。初めは力加減が難しいかもしれませんが、練習を重ねることで、ちょうど良い加減がわかってくるはずです。

2-3糸を湿らせる方法

昔から伝わる方法として、糸先を軽く湿らせてから針に通す方法があります。この方法は特に初心者の方におすすめです。ただし、衛生面には十分な注意が必要です。 ・清潔な水を少量用意する ・指先を軽く湿らせる ・糸先を整える ・適度な湿り気を確認する ・必要に応じて拭き取る 糸を湿らせることで、繊維同士が密着し、まとまりやすくなります。また、静電気も抑えられるため、糸が広がりにくくなるという利点もあります。ただし、水を付けすぎると、かえって糸が膨らんでしまい、針穴に通りにくくなってしまうので注意が必要です。また、使用する水は清潔なものを用意し、必要最小限の量を使うようにしましょう。昔は唾液で湿らせる方法が一般的でしたが、現代では衛生面を考慮して、清潔な水を使用することをおすすめします。 このように、基本的なコツを押さえることで、糸通しの作業がぐっと楽になります。次のセクションでは、より確実な方法として、糸通しという便利な道具の使い方について詳しく解説していきます。

糸通しを使った効率的な通し方

基本的なコツを習得したら、次は便利な道具である「糸通し」の活用方法について学んでいきましょう。糸通しを使うことで、糸を針に通す作業が格段に楽になります。特に複数本の刺繍糸を同時に通す必要がある場合や、目が疲れている時には、とても重宝する道具です。最近では様々な種類の糸通しが開発されており、自分に合った使いやすいものを選ぶことができます。

3-1糸通しの種類

手芸用品店やホームセンター、100円ショップなどで見かける糸通しには、それぞれ特徴があります。用途や好みに応じて、最適なものを選びましょう。 ・金属製の薄い板タイプ ・レバー式の糸通し器 ・専用の刺繍用糸通し ・自動糸通し機 ・ワイヤータイプの糸通し 糸通しは価格帯も様々で、100円ショップの商品から、数千円する専門的な道具まであります。初心者の方は、まず手頃な価格の基本的なタイプから始めるのがおすすめです。 使い方に慣れてきたら、より使いやすい高機能な商品にステップアップすることもできます。ただし、価格が高いからといって、必ずしも自分に合っているとは限りません。実際に手に取って、使い心地を確認してから選ぶことをおすすめします。

3-2基本的な糸通しの使い方

糸通しの種類によって具体的な使用方法は異なりますが、最も一般的な薄い板タイプの糸通しの基本的な使い方をご紹介します。 ・糸通しを針穴に入れる ・糸を金属部分の溝にセット ・ゆっくりと引き抜く ・糸が通ったか確認 ・必要に応じて調整する 初めて糸通しを使う方は、最初は少し戸惑うかもしれません。しかし、コツをつかめば数秒で作業を完了できるようになります。特に大切なのは、急いで作業を進めないことです。糸通しは繊細な道具なので、強い力を加えると変形したり破損したりする可能性があります。ゆっくりと丁寧に作業を進めることを心がけましょう。

3-3糸通し選びのポイント

効率的に作業を進めるためには、自分に合った糸通しを選ぶことが重要です。道具選びの基準となるポイントをいくつかご紹介します。 ・使用頻度 ・主に使用する針の種類 ・刺繍糸の本数 ・予算 ・手の大きさや握力 糸通しは毎日使う道具なので、使い心地の良さは非常に重要です。特に手の大きさや握力によって、使いやすい糸通しは変わってきます。また、主に使用する針の種類や刺繍糸の本数によっても、最適な糸通しは異なります。予算との兼ね合いもありますが、できるだけ実際に手に取って確認してから購入することをおすすめします。良い道具を選ぶことで、作業効率が大幅に向上し、刺繍をより楽しむことができるようになります。

便利なアイテムとその選び方

刺繍を快適に楽しむためには、適切な道具選びが欠かせません。特に糸を針に通す作業は頻繁に行うため、使いやすい道具を揃えることで作業効率が大きく変わってきます。ここでは、おすすめの道具とその選び方について詳しく解説していきます。予算や使用頻度に応じて、自分に合った道具を選んでいきましょう。

4-1おすすめの糸通し

手芸用品店や100円ショップなどで販売されている糸通しには、それぞれ特徴があります。価格帯や機能性を比較しながら、最適なものを選びましょう。 ・100円ショップの基本タイプ ・専門店の高機能タイプ ・自動糸通し機 ・ワイヤー製の糸通し ・レバー式の糸通し器 糸通しは、比較的安価な道具から高機能な専門的な道具まで、幅広い選択肢があります。初心者の方は、まずは手頃な価格の基本的なタイプから始めることをおすすめします。 使い方に慣れてきたら、より使いやすい商品にステップアップすることもできます。道具選びの際は、実際に手に取って、使い心地を確認することが大切です。特に手の大きさや握力によって、使いやすい道具は異なってきます。

4-2注意点とメンテナンス

糸通しを長く使い続けるためには、適切なメンテナンスと使用方法が重要です。特に気をつけたいポイントをご紹介します。 ・使用後の保管方法 ・清掃の仕方 ・劣化のサイン ・交換のタイミング ・取り扱い時の注意点 糸通しは繊細な道具なので、丁寧に扱うことが大切です。使用後は専用のケースに入れて保管し、強い力を加えないように注意しましょう。また、定期的に清掃を行い、糸くずや汚れが溜まらないようにします。 糸通しが変形したり、使いづらくなってきたりしたら、新しいものに交換することをおすすめします。適切なメンテナンスを行うことで、道具を長く使い続けることができ、作業効率も維持できます。

トラブル対処法

刺繍の作業中、特に糸を針に通す際には様々なトラブルが発生することがあります。しかし、適切な対処法を知っておけば、ほとんどの問題は簡単に解決できます。 ここでは、よくあるトラブルとその解決方法について詳しく解説していきます。これらの知識を身につけることで、より快適に刺繍を楽しむことができるようになります。

5-1糸がほつれてしまう場合

刺繍糸は複数の細い糸で構成されているため、使用しているうちにほつれてしまうことがよくあります。このような場合は、まずはさみで切り直すところから始めましょう。切る際は、できるだけ鋭利なはさみを使い、斜めに切ることで先端を尖らせます。その後、指先で優しく整えながら、必要に応じて軽く撚りをかけていきます。 それでも糸先がまとまらない場合は、少量の水で湿らせてみましょう。ただし、水を付けすぎると逆効果になってしまうので、指先に極少量の水を付けて試してみることをおすすめします。また、固く撚りすぎてしまうと、今度は針穴に通りにくくなってしまうので、力加減には十分注意が必要です。

5-2糸通しが使いにくい場合

糸通しを使っても上手く糸が通らない場合は、まず使用している糸の本数を確認してみましょう。刺繍糸は通常6本で構成されていますが、一度にすべての本数を通そうとすると難しい場合があります。そのような時は、糸を2本か3本に分けて通してみることをおすすめします。 また、使用している針と糸通しの相性も重要です。針穴が小さすぎたり、逆に大きすぎたりする場合は、適切なサイズの針に変更することで問題が解決することもあります。糸通し自体が変形している可能性もありますので、定期的に状態をチェックし、必要に応じて新しいものに交換することも検討しましょう。

5-3糸が絡まる場合

刺繍作業中に糸が絡まってしまうのは、よくある問題です。このような場合は、まず落ち着いて糸の状態を確認します。無理に引っ張ったり、急いで解こうとしたりすると、かえって状況が悪化してしまう可能性があります。 糸が絡まった原因としては、糸が長すぎることや、撚りが強すぎることなどが考えられます。予防策として、糸は40〜50センチ程度の長さで使用し、作業中は定期的に糸の状態をチェックすることをおすすめします。また、糸を使う前に軽く手のひらでならしておくことで、絡まりにくくなります。

刺繍の刺し始めのコツ

刺繍作品を始める際、最初の一針が重要です。きれいな仕上がりを目指すためには、刺し始めの技術をしっかりと身につけることが大切です。ここでは、美しい作品作りの第一歩となる刺し始めの方法について、詳しく解説していきます。

6-1捨て糸を使った始め方

捨て糸とは、刺繍を始める際に一時的に使用する糸のことです。刺し始めの位置から少し離れた場所に針を表から入れ、糸を長めに残しておきます。その後、実際の刺繍を進めていき、最後に残しておいた糸を裏に出して始末します。この方法は、特に線状の刺繍や、周囲に他の刺繍がない場合に適しています。 糸を残す長さは針二本分程度が目安となります。捨て糸を使う際は、刺繍する場所から3〜4センチ程度離れた位置から始めることで、後の処理がしやすくなります。また、捨て糸は最後にきれいに処理できるよう、作業中は邪魔にならない位置に固定しておくことをおすすめします。

6-2玉結びの活用法

玉結びは、初心者の方でも取り組みやすい方法です。特にカバンや衣服など、日常的に使用する物や洗濯が必要なものに刺繍をする場合は、玉結びがおすすめです。また、作品の裏側が見えない場合や、裏側に別の布が当たる場合も、玉結びを使用しても問題ありません。ただし、額に入れて飾るような作品の場合は、玉結びによる凹凸が目立つ可能性があるので、注意が必要です。 玉結びを作る際は、結び目が大きくなりすぎないように注意しましょう。糸を2〜3回巻いて作る小さな結び目で十分です。また、玉結びは布の裏側でしっかりと固定されるよう、適度な強さで引くことを心がけましょう。

6-3面刺繍の始め方

面状の刺繍を行う場合は、図案の中央から刺し始めるのが効果的です。まず中心に小さな間隔で針を入れ、その周りを埋めていく形で刺繍を進めます。この方法のメリットは、刺し始めの部分が後から刺繍で隠れるため、糸の始末が目立たなくなることです。特にサテンステッチなどの技法では、よく用いられる方法です。 面刺繍を始める際は、図案の形状をよく確認し、どの方向に刺繍を進めていくかをあらかじめ計画しておくことが大切です。 また、布地にしわやたるみが出ないよう、刺繍枠でしっかりと固定してから作業を始めることをおすすめします。これにより、より美しい仕上がりを実現することができます。

刺繍の刺し終わりをきれいに仕上げる方法

刺繍作品の見栄えは、刺し終わりの処理で大きく変わります。丁寧な終わり方は、作品の完成度を高めるだけでなく、糸がほどける心配もなくなります。ここでは、美しい仕上がりを実現するための刺し終わりの方法について説明します。

7-1裏側での糸の始末方法

最も一般的な方法は、裏側の縫い目に糸を絡めて固定する方法です。まず、刺繍が終わったら糸を裏側に出します。そして、すでにある縫い目に沿って糸を巻きつけていきます。このとき、一方向だけでなく、往復して糸を絡めることで、よりしっかりと固定することができます。ただし、あまり立体的にならないよう、布地を平らに保つことを意識しましょう。

7-2面刺繍の終わり方

面状の刺繍を終える場合は、刺し始めと同様に、図案の中心付近で糸を処理するのがコツです。まず糸を裏側に出し、すでにある刺繍の裏側のステッチに数回通して固定します。このとき、表側の布を拾わないように注意が必要です。この方法により、糸の処理が目立たず、美しい仕上がりを実現できます。

7-3初心者向けの仕上げ方

刺繍を始めたばかりの方は、玉結びで終わりを処理しても構いません。確実に糸を固定できる方法として、玉結びは有効です。ただし、作品の用途に応じて適切な方法を選ぶことが大切です。展示用の作品であれば玉結びを避け、日常的に使用する物であれば玉結びを活用するなど、状況に応じた判断が必要です。

まとめ

刺繍糸を針に通す作業は、初心者からベテランまで、誰もが直面する基本的な課題です。正しい技術と適切な道具を活用することで、この作業をより簡単に、そして確実に行うことができます。本記事で紹介した様々なコツと道具の使い方を、ぜひ実践してみてください。特に糸先を整えることと、自分に合った糸通しを選ぶことは、作業効率を大きく向上させる重要なポイントです。 刺繍を始めたばかりの方は、まず基本的な技術をしっかりと身につけることが大切です。初めは時間がかかっても、丁寧に作業を進めることを心がけましょう。慣れてくると、自然と作業スピードも上がってきます。また、一度の失敗で諦めることなく、様々な方法を試してみることをおすすめします。刺繍は根気のいる作業ですが、その分だけ完成した時の喜びも大きいものです。

日本インストラクター技術協会編集部
インストラクターの専門性を高めるためや地位向上を目的とした団体である日本インストラクター技術協会(JIA)編集部が運営するコラムです。
美容・健康・ボディケアの資格の筋トレインストラクター、シェイプアップインストラクターや骨格診断士。心理カウンセラー資格のメンタル心理インストラクター、子供心理カウンセラー®、音楽療法カウンセラーや行動主義心理アドバイザー®など様々な資格を認定しています。
日本インストラクター技術協会編集部