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手作り石鹸が失敗するのはなぜ?失敗例やトラブル、分離した時の対処法

記事作成日:2025.02.07
手作り石鹸の製作に挑戦したものの、思うように固まらない、型から外れない、すぐに溶けてしまうなど、様々な失敗に直面した経験はありませんか?手作り石鹸は自分好みの香りやデザインを楽しめる素敵な趣味ですが、初めての方はもちろん、経験者でも予期せぬトラブルに遭遇することがあります。本記事では、手作り石鹸でよくある失敗の原因と具体的な対策について、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
手作り石鹸が失敗するのはなぜ?失敗例やトラブル、分離した時の対処法

目次

初心者にありがち…トレースの失敗と対策

手作り石鹸で最も頭を悩ませるのが、トレースと呼ばれる状態を作り出すことです。トレースとは、オイルと苛性ソーダを混ぜ合わせた時に、生地に跡が残るほどの粘度が出てくる状態のことを指します。
このトレースの具合によって、出来上がりの石鹸の質が大きく変わってきます。しかし、このトレースを理想的な状態で作り出すのは、経験者でも難しいことがあります。

1-1温度管理で失敗

トレースを作る上で最も難しいのが温度管理です。オイルと苛性ソーダの温度は35〜45度の間に収める必要がありますが、この温度を維持するのは想像以上に困難です。特に冬場は、材料がすぐに冷えてしまい、室温の影響も大きく受けます。また、かくはんしている間にも温度は刻々と変化していくため、常に適温を保つのは至難の業です。

1-2材料による変化で失敗

使用する材料によっても、トレースの出方は大きく異なります。オリーブオイルは時間がかかりやすく、ココナッツオイルは比較的早くトレースが出る傾向があります。また、ハチミツや牛乳などの添加物を入れると、予想以上に早くトレースが出てしまうことがあります。これらの材料の特性を理解し、適切に扱うのは初心者にとって特に難しい課題となります。

1-3トレースの状態の判断で失敗

トレースの状態を正確に判断するのも難しい点の一つです。軽いトレースなのか、中トレースなのか、それとも強すぎるトレースなのか、その見極めには経験が必要です。
トレースが弱すぎると石鹸が固まらず、強すぎると型入れが困難になります。この微妙な加減を理解し、適切なタイミングで次の工程に進むための判断力を養うには、多くの試行錯誤が必要となります。

1-4トレースが早すぎて困った!という時は

トレースが早すぎる場合も、石鹸作りでは悩ましい問題です。これは主に温度が高すぎたり、ココナッツオイルなどの固形油の割合が多すぎたりすることが原因です。また、牛乳やハチミツなどの添加物を使用する場合も、トレースが早まることがあります。
そのため、これらの材料を使う時は特に注意が必要です。トレースが早すぎると、型に流し込む前に固まってしまい、きれいな成形ができなくなってしまいます。このような場合は、材料の温度を少し低めに設定したり、攪拌の速度を調整したりすることで対応できます。

1-5理想的なトレースを作るコツ

理想的なトレースを作るためには、まず材料の温度管理が重要です。オイルと苛性ソーダ水溶液の温度は、できるだけ同じになるように調整しましょう。
次に大切なのが攪拌の方法です。スティックブレンダーを使う場合は、短く断続的に使うことで、トレースの状態を細かく確認できます。
手動で攪拌する場合は、ゆっくりと丁寧に、常に同じ方向に混ぜることがポイントです。トレースの状態は、生地の表面に跡が残るかどうかで確認できます。

「えっ!固まらない…」そんな時の原因と対策

石鹸作りで最もがっかりするのが、せっかく作ったのに固まらないというケースです。これには材料の配合バランスや温度管理など、いくつかの要因が関係しています。
固まらない原因を理解し、適切な対策を取ることで、この問題は解決できます。

2-1よくある「固まらない」パターンとは

固まらない石鹸の状態は大きく分けて二つあります。一つは、型に流し込んでから全く固まらないケース。もう一つは、一度は固まったように見えたのに、使用時にすぐに溶けてしまうケースです。
前者は主に温度管理と材料の配合比率に問題があることが多く、後者は使用するオイルの選択や水分量に関係していることが一般的です。特に初心者の方は、オリーブオイルなどの液体油を多く使用しすぎて、石鹸が柔らかくなりすぎてしまうことがよくあります。

2-2温度管理のコツと保温方法

温度管理は石鹸作りの要となる重要なポイントです。オイルと苛性ソーダ水溶液は、通常35〜45度の範囲に温度を合わせる必要があります。この温度が合っていないと、せっかく作った石鹸が固まらない原因となってしまいます。
また、型に流し込んだ後の保温も大切です。特に冬場は、室温が低すぎて固まりにくくなることがあります。このような場合は、型をタオルで包んで保温したり、段ボール箱に入れて断熱したりすることで、適切な温度を保つことができます。

2-3材料選びで失敗を防ごう

石鹸の硬さを調整するには、使用するオイルの種類と配合比率が重要です。ココナッツオイルやパームオイルは石鹸を硬くする効果があり、オリーブオイルなどの液体油は柔らかくする傾向があります。
初めて作る場合は、経験者の方のレシピを参考にすることをおすすめします。配合を自分で考える場合は、硬化しやすいオイルと柔らかいオイルのバランスを考えることが大切です。ココナッツオイルやパームオイルを全体の30〜40%程度使用すると、適度な硬さの石鹸を作ることができます。

「型から外れない!」を解決しよう

型から石鹸がうまく外れないのは、手作り石鹸でよくある問題の一つです。せっかく時間をかけて作った石鹸が、型から外す時に崩れたり、表面が傷ついたりしては台無しです。ここでは、型の選び方から外し方まで、詳しく説明していきます。

3-1型選びのポイント

石鹸作りに使う型は、材質によって特徴が異なります。シリコン型は柔軟で取り出しやすい反面、石鹸がくっつきやすい性質があります。プラスチック型は手頃な価格で使いやすいですが、表面に細かい傷がつくと、そこに石鹸がくっつきやすくなります。
木製の型は通気性が良く、石鹸の乾燥を促進しますが、手入れが必要です。初心者の方には、まずシリコン型から始めることをおすすめします。型の内側にクッキングペーパーを敷いたり、ワセリンを薄く塗ったりすることで、取り出しやすくなります。

3-2スムーズに外すためのテクニック

型から石鹸を外す際は、まず適切なタイミングを見極めることが大切です。早すぎると形が崩れ、遅すぎると型にくっついて取れなくなることがあります。通常は型入れから24〜48時間後が適切なタイミングとされています。石鹸が固まりすぎて型から外れにくい場合は、冷蔵庫で30分ほど冷やすと、収縮して取り出しやすくなります。

3-3型から取り出した後の形を整える方法

型から取り出した石鹸は、まだ柔らかい状態です。この時期に表面を整えたり、必要に応じてカットしたりすることができます。表面が気になる場合は、濡らしたヘラで優しく撫でることで、滑らかに整えることができます。
カットする場合は、専用のカッターやワイヤーを使うと、きれいな断面を作ることができます。また、この時期に装飾を施すこともできます。型から外した後は、風通しの良い場所で4〜6週間ほど乾燥させることで、使いやすい硬さになります。

分離しちゃった!でも大丈夫

石鹸作りの過程で、材料が分離してしまうのは珍しいことではありません。分離した状態というのは、オイルと水分が混ざり合わずに別々の層になってしまう状態のことです。一見失敗したように見えても、適切な対処をすれば十分に回復可能です。

4-1分離が起きる原因とは

分離が起こる主な原因は温度管理の失敗です。材料の温度が高すぎたり、攪拌中に急激な温度変化が起きたりすると、せっかく混ざり合った材料が再び分離してしまいます。特に、ハチミツや牛乳などの添加物を使用する場合は、温度管理が難しくなります。
また、攪拌が不十分な場合や、材料の配合バランスが適切でない場合にも分離が起こることがあります。初心者の方は、基本的なレシピから始めて、徐々に添加物を試していくことをおすすめします。

4-2分離を防ぐポイント

分離を防ぐためには、まず材料の温度管理が重要です。オイルと苛性ソーダ水溶液は、できるだけ同じ温度になるように調整しましょう。
また、攪拌する際は、一定の方向にゆっくりと丁寧に混ぜることで、材料が均一に混ざり合います。添加物を使用する場合は、少しずつ加えていくことで、急激な温度変化を防ぐことができます。作業する場所の温度も重要で、特に寒い時期は室温にも注意が必要です。

4-3分離してしまった時の救済方法

分離してしまった場合でも、いくつかの救済方法があります。最も一般的なのが、湯煎で温めながら再度攪拌する方法です。この時、温度は70度程度を目安にし、ゆっくりと丁寧に混ぜ合わせます。
もう一つの方法は、塩を使って石鹸を析出させる「塩析」という方法です。これは上級者向けの技術ですが、うまくいけば高品質な石鹸を救い出すことができます。

使ってみたら…「すぐ溶ける」「泡立たない」を解決!

せっかく作った石鹸が、使ってみるとあっという間に溶けてしまったり、泡立ちが悪かったりすることがあります。これらの問題は、材料の選び方や配合比率によって大きく改善することができます。使い心地の良い石鹸を作るためのポイントを詳しく見ていきましょう。

5-1溶けやすい石鹸の原因

石鹸がすぐに溶けてしまう主な原因は、液体油の使用割合が高すぎることです。オリーブオイルやアーモンドオイルなどの液体油は、肌に優しい反面、できあがる石鹸が柔らかくなりやすい性質があります。
また、水分量が多すぎることも、石鹸が溶けやすくなる原因となります。熟成期間が短すぎると、まだ水分が十分に抜けきっていないため、使用時にすぐ溶けてしまう可能性があります。石鹸は通常4〜6週間の熟成期間が必要で、この間に適度な硬さになっていきます。

5-2泡立ちを良くするコツ

泡立ちの良い石鹸を作るには、泡立ち性の高いオイルを適度に配合することが重要です。ココナッツオイルは泡立ちを良くする代表的な材料で、全体の30〜40%程度を目安に使用すると効果的です。ただし、ココナッツオイルは洗浄力が強いため、使いすぎると肌が乾燥しやすくなることもあります。
また、パームオイルも泡立ちと硬さの両方に貢献する材料です。これらのオイルと、オリーブオイルなどの保湿性の高いオイルをバランスよく配合することで、泡立ちが良く、肌にも優しい石鹸を作ることができます。

5-3使い心地を良くする材料選び

使い心地の良い石鹸を作るためには、オイルの特性を理解して選ぶことが大切です。例えば、オリーブオイルは保湿性が高く、肌に優しい石鹸になります。シアバターやカカオバターは、クリーミーな泡立ちと保湿効果を両立できる材料です。
また、アボカドオイルは、肌の弾力を保つ効果があるとされています。これらの材料を組み合わせることで、自分の肌に合った理想的な石鹸を作ることができます。ただし、新しい材料を試す際は、少量から始めることをおすすめします。

見た目も大切!キレイな石鹸を作るコツ

手作り石鹸の魅力の一つは、見た目の美しさです。色づけやデザインによって、世界に一つだけの石鹸を作ることができます。しかし、思い通りの色や模様にならないこともあります。ここでは、見た目の美しい石鹸を作るためのポイントを説明していきます。

6-1色づけの失敗と対策

石鹸の色づけには、天然の材料や専用の着色料を使用することができます。しかし、天然素材を使用する場合は、アルカリ性の環境で色が変化したり、時間とともに退色したりすることがあります。例えば、クロロフィルを含む緑色の素材は、苛性ソーダと反応して色が変わってしまうことがあります。
このような失敗を防ぐために、酸化に強い着色料を選んだり、トレース後に色素を加えたりする工夫が必要です。マイカパウダーや酸化鉄系の着色料は、石鹸作りに適した安定した素材です。また、色を混ぜ合わせる際は、少しずつ加えていき、様子を見ながら調整することが大切です。

6-2デザインを成功させるポイント

石鹸のデザインを成功させるためには、トレースの状態を見極めることが重要です。軽いトレースの段階では流動性が高く、マーブル模様などの繊細なデザインが作りやすくなります。一方、しっかりとしたトレースの段階では、立体的な模様を作ることができます。
また、型に流し込む際の温度も重要です。温度が高すぎると色が混ざりすぎてしまい、低すぎると層が分離してしまう可能性があります。デザインの成功率を上げるためには、作業の手順を事前に決めておき、材料や道具を準備しておくことをおすすめします。

6-3保存方法と見た目の変化

石鹸は時間とともに見た目が変化することがあります。特に天然の着色料を使用した場合は、変色や退色が起こりやすくなります。これを防ぐためには、直射日光を避け、風通しの良い場所で保存することが大切です。
また、高温多湿の環境では、石鹸の表面に白い粉(ソーダ灰)が出てくることがあります。これは使用には問題ありませんが、見た目が損なわれてしまいます。保存時は、温度と湿度が安定した場所を選び、必要に応じて乾燥剤を使用することをおすすめします。

手作り石鹸の失敗を活かそう!

手作り石鹸作りでは、思いがけない失敗に出会うことがありますが、それは貴重な学びの機会でもあります。失敗作を捨ててしまうのではなく、リメイクしたり、次回の製作に活かしたりすることで、より良い石鹸作りにつながります。

7-1失敗作のリメイク術

失敗した石鹸でも、多くの場合リメイクが可能です。「リバッチ」と呼ばれる手法を使えば、固まらなかった石鹸や、見た目に不満が残る石鹸を作り直すことができます。
リバッチの基本的な方法は、失敗した石鹸を細かく刻んで湯煎で温め、新しい型に流し込むというものです。この時、追加で香りを付けたり、色を変えたりすることもできます。ただし、温度管理には注意が必要で、70度程度を目安に加熱します。加熱しすぎると石鹸の質が低下する可能性があるので、ゆっくりと丁寧に作業を進めましょう。

7-2次回に活かすための記録方法

手作り石鹸の上達には、失敗と成功の両方の記録を取ることが重要です。
・材料の配合
・温度
・作業時間
・室温

などの基本的な情報に加えて、途中で気づいたことや、できあがりの状態なども細かく記録しておきましょう。写真を撮っておくのも効果的です。これらの記録は、次回の製作時の貴重な参考資料となります。特に失敗した場合は、どの段階で問題が発生したのか、その時の状況はどうだったのかを詳しく記録しておくことで、同じ失敗を防ぐことができます。

7-3ステップアップのポイント

手作り石鹸は、基本的な技術を身につけてから、徐々にレベルアップしていくことが大切です。最初は信頼できるレシピに忠実に従い、基本的な工程を確実にマスターしましょう。
その後、少しずつ材料や配合を変えたり、デザインを工夫したりして、自分なりのアレンジを加えていきます。失敗を恐れずに新しいことにチャレンジすることで、技術は確実に向上していきます。また、他の手作り石鹸愛好家との情報交換も、スキルアップの良いきっかけとなります。
手作り石鹸の失敗は、決してマイナスではありません。むしろ、より良い石鹸作りへの大切なステップと考えることができます。本記事で紹介した対策や工夫を参考に、ぜひ理想の石鹸作りに挑戦してみてください。
失敗を重ねながら、少しずつでも確実に上達していくことで、最終的には自分だけのオリジナル石鹸を作ることができるようになるでしょう。諦めずに続けることで、手作り石鹸の奥深い魅力を存分に味わうことができます。

石鹸作りをしっかり学びたい方へ

手作り石鹸の奥深い世界をより専門的に学びたい方には、「石鹸アーティスト」という資格取得がおすすめです。この資格は、ハンドメイドソープの作り方を体系的に学び、その技術と知識を他の人に伝えられる能力があることを証明するものです。
資格を取得することで、オイルの特性や選び方、安全な制作方法、さらには様々な種類の石鹸作りのレシピまで、幅広い知識を身につけることができます。特にアロマ石鹸やカラー石鹸、スキンケア石鹸など、目的に応じた石鹸作りの専門知識を深められます。
資格の学習内容は多岐にわたります。基本的な固形石鹸の作り方はもちろん、透明石鹸や液体石鹸の製法、さらにはリバッチやリメイクの技術まで学ぶことができます。また、苛性ソーダや苛性カリといった化学物質の安全な取り扱い方も重要な学習項目となっています。

まとめ

手作り石鹸作りには様々な失敗がつきものですが、それぞれの失敗には必ず原因があり、適切な対策を取ることで解決できます。トレースが出ない、固まらない、分離してしまうなどの問題も、温度管理や材料の配合を見直すことで改善できます。
また、失敗した石鹸もリバッチという方法でリメイクできるので、諦める必要はありません。初めは基本的なレシピに忠実に従い、少しずつ自分なりのアレンジを加えていくことで、確実にスキルアップすることができます。手作り石鹸は、失敗を重ねながら学んでいく楽しい趣味です。ぜひ、この記事で紹介した対策を参考に、理想の石鹸作りにチャレンジしてみてください。

日本インストラクター技術協会編集部
インストラクターの専門性を高めるためや地位向上を目的とした団体である日本インストラクター技術協会(JIA)編集部が運営するコラムです。
美容・健康・ボディケアの資格の筋トレインストラクター、シェイプアップインストラクターや骨格診断士。心理カウンセラー資格のメンタル心理インストラクター、子供心理カウンセラー®、音楽療法カウンセラーや行動主義心理アドバイザー®など様々な資格を認定しています。
日本インストラクター技術協会編集部