整体師として、経験を積んでくると、独立を考え始める方も多いです。
雇われの整体師では収入に限界があるからです。
例えば、正社員として整体師の場合、新人で月収は15〜20万程度です。経験があったり、資格を持っていたりすると25万円超の可能性もあります。
一方で整体師として独立し、成功している場合は年収1000万円を目指せる場合もあります。
もちろん、努力は必要ですが、整体師として独立・開業すると収入をアップを目指すことができます。整体資格はこちら
整体師として独立を決めたら、まずは営業形態を考えましょう。
以下では、営業形態の4つを詳しく紹介します。
1つ目は、自宅で開業する営業形態です。
自宅で開業すれば、テナントを借りる必要がなく、開業費用を安く抑えられます。
一人で整体院を運営しようと考えている方におすすめです。自宅を利用することで、貸店舗や賃貸マンションの一室を借りるよりも賃料を抑えることができます。また、施術室として一部屋だけを改装する方法もあります。
しかし、自宅での開業は大きな看板を設置するなどの大規模な広告が難しいため、別の集客手段を工夫する必要があるでしょう。
2つ目は、マンションの一室を借りて開業する営業形態です。
テナントよりも安価に整体院を開業できます。
一人で整体院を開業する場合、ベッド一台分のスペースがあれば可能です。そのため、多くの整体師がマンションの一室で開業しています。
マンションの一室で開業する際は、契約するマンションが商業利用可能かどうかを確認する必要があります。商業利用が可能なマンションを契約すれば、整体院を開業することが可能です。
マンションでの開業は、賃料が低いというメリットがありますが、自宅開業と同様に大きな看板を設置することができません。そのため、駅近など集客しやすい立地を選び、さらに集客手段を工夫することが重要と言えるでしょう。
3つ目は、レンタルサロンやシェアサロンで開業する方法です。
初期費用を抑えたい個人整体師には最適な選択です。
レンタルサロンやシェアサロンは、備品や設備、消耗品がすでに揃っていることが多く、自分で購入する必要がありません。レンタル費用はかかりますが、物件取得費が不要で、月々の利用料もテナント家賃より安いことが多いです。初期費用を抑えたい個人整体師には最適な選択です。
レンタルサロンは、時間・日・月単位で施術スペースを借りることができます。
施術に必要なベッドや備品が用意されているため、自分で揃える手間が省けます。また、固定された場所で働く必要がないため、広範囲の顧客を獲得する可能性があります。
初期費用を抑えたい、仕事場を自宅と分けたい、複数のエリアでサービスを提供したい方には、レンタルサロンやシェアサロンの利用がおすすめです。
4つ目は、貸店舗を借りて開業する方法です。
店舗用物件を利用することで、集客効果が高くなります。
店舗用物件は、人通りが多い場所に位置していることが多いため、人目に触れやすく、飛び込み客が訪れる可能性や認知度が広がる期待が持てます。
店舗用物件は、集客しやすいというメリットがありますが、一方で賃料が高いというデメリットがあります。特に、内装が取り除かれているスケルトン物件の場合は、内装や設備の改装工事が必要となり、初期費用が高くなるので注意しましょう。
店舗用物件は集客効果が期待できますが、賃料や改装費用が高くなるため、予算とのバランスを考慮することが重要でしょう。
営業形態を決めたら、次は独立・開業のための準備をしましょう。
以下では、整体師として独立・開業するためにやるべきことを詳しく解説していきます。
整体院を開業するためには、事業計画を作成しましょう。
事業計画とは、整体院のコンセプトやサービス内容、予想される売上や経費など、運営に関わる詳細を決めることです。
詳しく決めておかないと、
また、開業資金を調達する際に提出を求められることがあります。
事業計画書には、以下の項目を記載しましょう。
・創業の動機
・経営者の略歴
・取扱商品・サービス(ターゲット、施術メニュー、価格)
・取引先や取引関係
・従業員
・お借入の状況
・必要な資金と調達方法(設備資金や運転資金)
・事業の見通し
・ポイントの再確認
事業計画書は、日本政策金融公庫のホームページからダウンロードできます。
これを参考に、事前に計画を練っておくとスムーズに開業準備が進みます。
開業形態を決めたあとは、整体院を開くための物件を選定しましょう。
自宅で開業する場合は物件選びが不要ですが、賃貸で開業を考えている場合、物件選びは大変重要です。
立地は、開業地域によって異なります。都会であれば駅に近い場所が望ましく、地方であれば広い駐車場がある場所が理想的です。それぞれの特徴を踏まえて、自分の予算に合った物件を選びましょう。
物件を選ぶ際は、集客効果の高い立地とランニングコストを抑えられるかどうかを考慮し、自分の予算に合った場所を選ぶといいでしょう。
開業資金の準備をしましょう。
一人で整体院を開業する場合、日本政策金融公庫が主な資金調達先となります。
日本政策金融公庫は、事業計画書を持参して、窓口で借り入れを相談するのが一般的です。
新規開業者の資金調達額の主な内訳は以下の通りです。
調達先 | 金額 |
---|---|
自己資金 | 280万 |
配偶者・親・兄弟・親戚 | 50万 |
友人・知人など | 37万 |
金融機関からの借入 | 768万 |
その他 | 45万 |
合計 | 1,180万 |
出典:「2023年度新規開業実態調査」
自己資金が23.7%、金融機関からの借入が65%です。
日本政策金融公庫からの融資だけで全額を賄うのは難しいため、事前に自己資金を準備し、融資以外の方法で全体の3割から4割の開業資金を確保しておくといいでしょう。
整体院に必要な備品も自分で揃えましょう。
施術を行うためには、様々な備品が必要だからです。
整体院に必要な備品は主に以下の通りです
・施術用ベッド
・デスク
・パソコン
・エアコンやストーブ
・カーテン
・タオルやシーツ
・事務用品
備品を揃えるための費用は最低でも数十万円はみておきましょう。
高価な備品や大量に揃える場合は、費用が百万円を超えることもあります。
整体院を開業するには、必要な備品を揃えるための費用がかかります。予算を考慮して、必要な備品を計画的に購入しましょう。
開業に必要な費用について、具体的に見ていきましょう。
以下は、整体院を開業する際に必要となる主な費用の項目です。
費用の種類 | 目安の金額 | |
---|---|---|
物件取得費 | 月額数十万円~200万円程度 | ・立地や広さによって異なる ・敷金や礼金などの初期費用も必要 |
内装工事費 | 200万円~ | ・店舗内の内装工事費用 ・レンタルサロン、シェアサロンの場合は必要なし |
備品購入費 | 数十万〜100万円程度 | ・整体院で使用するための備品 |
広告宣伝費 | 5~100万円程度 | ・集客をするための費用 ・チラシ、ポスター、看板の制作、インターネット広告など、Webサイト制作費など ・外部委託費用 |
上記の費用を事前に把握し、計画的に準備することが、成功する開業の第一歩となります。
整体院を開業するのに、必ず提出しなければならない届出はありません。
ただし、確定申告を青色申告で行う場合、「開業届」と「青色申告承認申請書」の2つを税務署に提出する必要があります。
白色申告の場合、「青色申告承認申請書」の提出は不要ですが、青色申告のほうが税制上のメリットが大きいです。
青色申告と白色申告の主な違いは以下の通りです。
申告方法 | 違い |
---|---|
青色申告 | 税制上のメリットが大きい |
白色申告 | 簡単な手続きで済む |
青色申告を選ぶことで、税制上の多くのメリットがあります。
青色申告を活用することを検討しましょう。
以下で詳しく解説します。
整体院を開業するには、役所に開業届を提出しましょう。
開業届とは、個人事業主が事業を開始する際に提出する書類であり、屋号や事業内容などを記入します。これにより、正式に事業を開始できます。
開業届の必要書類は税務署のウェブサイトからダウンロードできます。
提出期限は事業開始日から1ヶ月以内とされていますが、遅れても罰則はありません。
開業届を提出することで、正式に整体院を開業する準備が整います。事業開始日から1ヶ月以内に提出するようにしましょう。
青色申告とは、確定申告の方法のひとつです。
制度が始まったころの申告用紙が青かったことから、青色申告と呼ばれています。
青色申告には以下のような税制上のメリットがあります。
・最大65万円の税額控除を受けられる
・家族の給与を経費として計上できる
・赤字を繰越できる
・ポイントの再確認
青色申告は事前手続きが必要で、複式帳簿での帳簿作成、貸借対照表と損益計算書の添付が求められるため、白色申告と比較して複雑な対応が必要です。
青色申告は手続きが複雑ですが、税額控除や経費計上、赤字繰越などの多くのメリットを受けられます。
ここでは、整体師として開業した場合の年収について解説します。
また、年収500万円稼ぐためのシュミレーションもしてみましょう。
整体師が独立開業した場合の年収相場は、300~800万円程度です。
年収の幅が広いのは、経営規模による影響が大きいからです。
例えば、複数の整体院を運営する整体師であれば、年収が1,000万円を超えることもあるでしょう。
また、年収に大きな幅があるのは、以下のような理由も考えられます。
・経営規模の違い
・施術単価の設定
・集客力とリピーターの獲得
・運営コストの管理
整体師の年収は経営規模や様々な要因によって大きく異なります。
成功するためには、適切な価格設定や集客戦略、コスト管理が重要と言えるでしょう。
1人で整体院を開業する場合、経費を考慮して年収500万円を稼ぐためのシュミレーションをしてみましょう。
以下は、1人で整体院を開業した場合にかかる月の経費です。
月額 | 経費項目 |
---|---|
家賃+管理費 | 15万 |
駐車場代 | 1万 |
光熱費 | 1.2万 |
通信費 | 8千 |
消耗品 | 1万 |
宣伝広告費 | 10万 |
その他費用 | 1万 |
合計 | 30万 |
・1年の経費
30万円×12ヶ月=294万円
この経費を売上から差し引くと、実際の年収がわかります。
1人で整体院を開業する際は、経費をしっかりと計算し、売上から経費を差し引いた金額が年収となります。経費を抑えつつ、効率的に売上を上げる方法を検討しましょう。
営業内容 | 詳細 |
---|---|
月の営業日数 | 20日(週休2日) |
1日の営業時間 | 8時間(10時〜19時、休憩1時間) |
1人の施術時間 | 1時間 |
1日に対応可能な人数 | 6人 |
以上の条件で年収500万円の達成に必要な施術単価を計算すると次の通りです。
500万円(売上)+294万円(経費)÷(20日×6人×12か月)=6508円(約6500円)
施術単価を約6500円と設定すると、年収500万が達成可能です。
しかし、これは全日1日6人を達成できた場合です。
日によっては、1日1人になってしまう場合などもあるでしょう。
そうならないために集客活動と安定的な運営が必要です。
整体院を無事開業できても、営業を継続できなければ意味がありません。
以下では、成功させるために大切なこと5つを解説します。
整体院を成功させるためには、ブランディングを明確にしておくことが最重要です。
整体院は、競合も多いので、周囲の競合との差別化が必要だからです。
差別化を図ることで、自院の優れた点を強調し、注目度を高めることができます。
例えば、他の整体院と比較して優れている点を客観的に評価し、その特徴を積極的にアピールしましょう。独自の施術方法や特別なサービス、快適な施術環境などを強調することが有効です。
自院の強みを見つけ、それを効果的にアピールすることで、注目度を高めましょう。
整体院の運営を成功させるためには、リピーターの獲得が重要です。
リピーターが増えると、安定した収入が見込めるからです。
リピーターを獲得するためには、適切なメニューの価格設定が必要です。
価格が低すぎると目標の売上に届かず、高すぎるとリピーターを獲得しにくくなります。
価格設定を行う際には、目標の売上から逆算して考える方法があります。また、競合の平均価格を参考にすることで、適正価格を見つけやすくなるでしょう。
リピーターを獲得することで、整体院の収益が安定し、新規顧客の獲得にもつながります。価格設定やサービス向上に努め、リピーターを増やしましょう。
利用者に施術で満足してもらうためには、価格に見合った、もしくはそれ以上のサービスを提供することが重要です。
顧客満足度が高まれば、リピーターの獲得に繋がるからです。
サービスの質を向上させるためには、常に知識を習得し技術を磨き続ける必要があります。
例えば、知識を深めるために、本を読んだり、インターネットを活用したりして常に業界トレンドを把握するといいでしょう。
また、人気の整体院を訪れて自分で施術を受けたり、講習会に参加してみたりするのもいいでしょう。
整体院の運営を成功させるためには、常にスキルアップと勉強を続けることが大切です。技術の向上だけでなく、最新の健康情報をキャッチアップしたり、顧客対応力を磨いたりすることで、より多くの顧客から信頼を得られるでしょう。
整体院を成功させるためには、効果的に宣伝活動をするのが大切です。
宣伝に力を入れることで、多くの人に整体院の存在を知ってもらうことができるからです。また、SNSの活用も有効な手段です。
ホームページを充実させたり、SEO対策、MEO対策を講じたりするのが重要です。
さらに、Twitter、Instagram、TikTokなどのSNSを活用して情報を発信し続けることで、多くの人の目に留まりやすくなります。
整体院の宣伝効果を高めるためには、ホームページの充実、SNSの活用が欠かせないと言えるでしょう。
整体院は、資格や免許がなくても開業可能です。
しかし、資格を持っている方が、その知識や技術を顧客に証明でき、信頼を得やすくなります。
整体院の開業におすすめの資格を5つ紹介します。競合との差別化にもつながるため、これを機に取得を検討してみてはいかがでしょうか。
顧客の信頼を得るためにも、資格取得をおすすめします。
整体セラピストは、体と心の両方にアプローチできる施術者で民間資格です。
日本メディカル心理セラピー協会の資格を持つことが必要です。
整体セラピストは、筋緊張による体の歪みを改善し、自律神経のバランスを整え、自然治癒力を高める施術を行います。また、心のケアにも注力し、症状にアプローチすることが求められるでしょう。
整体セラピストは、日本メディカル心理セラピー協会であり、協会の検定に合格し、免許証を交付された者だけが整体セラピストと名乗ることができます。
ゆがみ矯正インストラクターは、ゆがみを矯正する整体に関する基礎知識を持つ民間資格です。
年代や美容などの状況に応じたテクニックで施術ができます。
ゆがみ矯正インストラクターは、様々なスキルや指導力を重視した資格を提供する日本インストラクター技術協会(JIA)によって発行されています。
資格を取得すると、整体に関する知識が求められる仕事でスキルや実力を証明する際に、大いに役立ちます。
ゆがみ矯正インストラクター資格は、専門的な技術と知識を証明するために有用で、仕事の場での信頼性を高めることができるでしょう。
柔道整復師は、国家資格です。
薬や手術を使わずに、柔道整復術という技術で骨折・脱臼・捻挫・打撲などの怪我を治療します。
柔道整復師の資格を取得するためには、都道府県知事が認定した養成施設(大学、短大、専門学校)で学び、国家試験に合格する必要があります。
柔道整復師の資格を取得すると、柔道整復師としての業務が行えるだけでなく、保険診療を扱うことも可能になります。
資格取得を目指すことで、専門的な治療を提供できるようになります。
あん摩マッサージ指圧師も、国家資格です。
あん摩・マッサージ・指圧を用いて、身体の不調を緩和し、病状の改善を目指します。
この資格を取得するためには、文部科学大臣または厚生労働大臣が定めた大学、短大、専門学校などの養成施設で学び、国家試験に合格する必要があります。
資格を取得することで、あん摩マッサージ指圧師としての業務が可能となり、保険診療の取り扱いもできるようになります。
ここでは、整体院開業のためによくある質問について2つご紹介します。
個人差はありますが、整体師として3~5年ほど臨床経験を積んでから独立するのが一般的です。
すぐに独立しても、経験が少なく失敗する可能性が高くなるからです。
例えば、経験を積みながら、顧客獲得しておくと、独立後流れてきてくれる場合もあります。すぐに独立を考えずに、長期的目線で目指すといいでしょう。
臨床経験を積んだ後、収入の上限を超えて成長するためには、独立開業が次のステップとな
るでしょう。
開業費用を抑えるためには、いくつかの方法があります。
費用を抑えるために、例えば以下のようなことができるでしょう。
・自宅で開業
・レンタルサロンやシェアサロンを利用
・中古の備品を活用
・補助金や融資を活用
・HP制作を自分で行う
・SNSなどの費用のかからない広告を利用
節約のために品質やサービスが低下しないよう、バランスを保つことが重要です。
適切な節約方法を選びつつ、サービスの質を維持することが成功の鍵と言えるでしょう。
ここまで、整体師として独立・開業するために必要なステップや、かかる費用、目指せる年収など詳しく解説してきました。
整体師として、資格は必須ではありませんが、資格の取得は知識や技術を習得している証明となるでしょう。また、資格を持っていないと施術できないケースもあるため、仕事の幅を広げ、売上アップの可能性を見据えて資格を取得することをおすすめします。
整体院の開業には多くの準備が必要で、時間と労力を要します。
早く開業したいからといって、準備をおろそかにしてはいけません。
整体院を開業して良いスタートを切るためには、一つ一つを確実に準備し、万全な状態で開業に臨むことが重要と言えるでしょう。
また、常に勉強し成長し続けることも成功に繋がります。