お菓子資格とは、お菓子を作る際に必要な知識と技術を持っていることを証明する資格です。
お菓子資格には国家資格と民間資格があり、同じ資格でも証明できる力に微妙な違いがあります。
国家資格は、お菓子やパンの製造・販売を安全にできる力を証明します。
開業や店舗での勤務に役立つ資格や、お菓子を作るのに必要な技能を証明する資格など、製菓関係の仕事で有利に働く資格が多いです。
一方民間資格は、お菓子作りに関する知識や技術は手に入りますが、製造販売の許可は得られません。
あくまでも、お菓子作りに役立つ力を持っていることを証明する資格です。
同じお菓子の資格でも国家資格と民間資格では、証明できる力や得られる許可が違います。
お菓子資格を取得する際は、この違いを理解したうえで資格を選びましょう。
お菓子資格が役立つ場面は、趣味のお菓子作りだけではありません。
大きく分けて3つある、お菓子資格が役立つ場面を解説します。
お菓子資格の知識や技術があれば、資格を得る前よりもおいしいお菓子が作れるようになるでしょう。
お菓子資格では、スポンジが膨らむ仕組みや、メレンゲの役割など、お菓子を作るうえで知っておきたい知識が手に入ります。
加えてお菓子作りに必要なテクニックも学べるため、お菓子ができる仕組みを頭と体で理解できるようになります。
お菓子作りは料理の中でも難易度が高く、作りなれた方でも失敗することもある難しい技術です。
しかしお菓子資格で製菓の仕組みを学べば、失敗を防ぎおいしいお菓子を作れるようになれるでしょう。
またパーティーなどに作ったお菓子を披露すれば、場を盛り上げることもできます。
お菓子資格の知識や技術は、今以上にお菓子を楽しむに役立つ力となるはずです。
お菓子資格は、お菓子関連の仕事でも活かせます。
中でもお菓子の国家資格は、企業や店舗がお菓子を作り販売するのに必要な資格です。
また民間資格も、国家資格ほどの効力はありませんが、お菓子を作り販売するのに役立ちます。
資格で得た知識や技術は、製菓関係のお店だけでなく、お菓子の材料を扱うお店でも活用できるでしょう。
お菓子を実際に作るのはもちろん、お菓子作りに悩むお客様へアドバイスなどもできるようになります。
お客様の支持を集められれば、売り上げアップや昇給のチャンスをつかめることも。
また、書類審査や面接時にお菓子資格を取得していることをアピールできれば、ほかの応募者と差をつけられます。
例えば、資格取得までの道のりやお菓子作りの具体的なエピソードを自己アピールに活用すれば、採用担当者の印象に残りやすくなるでしょう。
このようにお菓子資格は、製菓関係の仕事へ就職・転職を目指す人に有効なものとなるはずです。
お菓子資格を取得すれば、資格の勉強で得た知識や技術を広める活動もできます。
具体的には、お菓子の作り方を教える料理講師や、スイーツを中心に活動するグルメライターなどです。
講師はカルチャースクールに所属して行うだけでなく、自宅サロンの開業もできます。
グルメライターも、実力が付けばフリーランスとして独立できるでしょう。
活動が有名になれば、企業や有名店と一緒に仕事ができるチャンスが手に入ることも。
サロンやライターは、自分の考え・好み・個性を前面に出した活動もできるため、企業や店舗で働く場合では味わえない働き方も可能です。開業や独立はとても大変ですが、面白い活動ややりがいを感じられる働き方ができるのではないでしょうか。
続いては、実際にあるお菓子資格を確認していきましょう。
おすすめのお菓子資格を6つご紹介しますので、取得するならどの資格がいいか考えながらご覧ください。
認定協会 | 日本インストラクター技術協会(JIA) |
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受験資格 | 特になし |
受験料 | 1万円(税込) |
受験申込 | インターネットからの申し込み |
受験方法 | 在宅受験 |
合格基準 | 70%以上の評価 |
試験日程 | 毎年偶数月20〜25日 (申し込みは受験月前月1〜31日) |
資格試験概要 | 粉の性質/灰分と小麦粉の質/小麦粉の故郷/小麦の種類/フランス産小麦の分類/保存法と取り扱いの注意点/膨張剤から見る記事が膨らむメカニズム/膨張とは/膨張剤の種類/ベーキングパウダー(複合膨張剤)/イーストパウダー(複合膨張剤)/発酵とは/イーストの種類と特徴/砂糖がお菓子にもたらす効果/砂糖の保水力/砂糖のメイラード反応/佐藤以外の甘味料/バターの基礎知識/バターの栄養分と組成/バターの種類/伸縮性・可塑性/ショートネス性/クリーミング性/製菓用油脂/クリームの種類とタイプ/お菓子の土台となる生地の種類/クリームの種類と活用法など |
お菓子作りパティシエ®は、洋菓子に関する知識を持っていることを証明できる資格。
お菓子作りに役立つ知識を、料理としてだけでなく科学的な視点からも理解していることが示せます。
お菓子を作るときに必要な知識を、幅広く知りたい方におすすめです。
「お菓子作りパティシエ®」は、受験申込と試験が在宅でできる資格です。
会場で受験するタイプの試験だと挑戦が難しい方でも、気軽に参加できるでしょう。
認定協会 | 日本安全食料料理協会(JSFCA) |
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受験資格 | 特になし |
受験料 | 1万円(税込) |
受験申込 | インターネットからの申し込み |
受験方法 | 在宅受験 |
合格基準 | 70%以上の評価 |
試験日程 | 毎年偶数月20〜25日 (申し込みは受験月前月1〜31日) |
資格試験概要 | グルテンとは/薄力粉とグルテン/強力粉とグルテン/グルテンとほかの食材の関係/油脂/塩/水の温度/オーブンを使ったお菓子作りのポイント/蒸し焼き/ガスオーブンと電気オーブン/図る道具と混ぜる道具の選び方/卵・乳製品・粉・佐藤・チョコレート・ナッツ類・フルーツ・スパイスの種類と選び方・洋菓子への効果・メリット/適切な調理や材料選び/クリーム・生地・スポンジの種類・性質・材料・実際に活用している洋菓子・洋菓子の作り方と知識など |
「製菓アドバイザー®」は、お菓子作りに必要な知識や技術が手に入る資格です。
先に紹介した「お菓子作りパティシエ®」と同じような資格に見えますが、学べる内容に違いがあります。
「製菓アドバイザー®」は、製菓に使う材料の種類・効果・見分け方などが中心です。
材料だけでなく、調理道具の使い方も取りあげているため、洋菓子を作る際の道具選びに役立てることもできます。
こちらも、受験申込と試験が在宅でできる資格です。
同時に受験すれば、お菓子に関する知識をより深められるでしょう。
認定協会 | 厚生労働省(各都道府県知事が交付) |
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受験資格 | ・中学校卒業後、都道府県知事の指定する製菓衛生師養成施設において、1年以上製菓衛生師として必要な知識および技術を習得したもの ・中学校卒業後、2年以上菓子製造業に従事したもの |
受験料 | 都道府県による |
受験申込 | 各都道府県の担当課に問い合わせ・申込 |
受験方法 | 四肢択一・マークシート方式 |
合格基準 | ・全体で6割以上正答 ・合格条件を満たしていても、0点の科目があれば不合格 |
受験日程 | 都道府県ごとに発表 |
資格試験概要 | 衛生法規/公衆衛生学/栄養学/食品学/食品衛生法/製菓理論/製菓実技(和菓子分野・洋菓子分野・製パン分野の3分野の中からひとつを選択・回答) |
「製菓衛生師」は、国が認定している国家資格です。
お菓子作りだけでなく、お菓子に含まれる栄養や、製菓と管理に必要な衛生学などを学べる資格で、お菓子を製造販売するのに必要な力を持っていることを証明できます。
「製菓衛生師」はパティシエや和菓子職人など、さまざまなお菓子作りのプロが取得している資格でもあります。
高い実力を証明できる資格ですが、受験資格に学歴や実務経験が要求される点に注意しましょう。
実技分野に和菓子・洋菓子・製パンが含まれているように、幅広い範囲のお菓子に関する知識と技術を求められます。
取得までが大変な資格ですが、お菓子を扱うお店を開業したいなら取っておきたい資格です。
お店の開業と運営には「食品衛生責任者」の資格を持った人を最低ひとりは配置する必要がありますが、「製菓衛生師」を取得していれば、「食品衛生責任者」は必要ありません。
お店の開業を目的としてお菓子資格を取得るなら、「製菓衛生師」の取得をおすすめします。
認定協会 | ・厚生労働省 ・委託先:中央職業能力開発協会(JAVADA) |
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受験資格 | ・2級:実務経験2年以上 (学歴により実務経験が不能になる場合あり) ・1級:7年以上の実務経験または2級合格後2年以上の実務経験(学歴により必要な実務経験年数が異なる) |
受験料 | ・学科試験:3,100円 ・実技試験:1万8,200円 (都道府県により異なる場合あり) |
受験申込 | 管轄の都道府県にある職業能力開発協会へ郵送で申し込む |
受験方法 | 筆記試験・実技試験を指定の試験場にて行う |
合格基準 | 非公開 |
受験日程 | ・学科試験:7月上旬〜9月上旬・1月下旬〜2月上旬 ・実技試験:6月上旬〜9月中旬・12月上旬〜2月中旬 |
資格試験概要 | ・1級・2級共通(内容・難易度に違いあり) ・学科試験:食品一般/菓子一般/関係法規/安全衛生/選択科目・洋菓子製造法・和菓子製造法 ・実技試験:選択科目・洋菓子製造作業・和菓子製造作業 |
「菓子製造技能士」は、和洋それぞれのお菓子の知識と制作技術を持っていることを証明できる国家資格です。
「製菓衛生師」と違い、衛生に関する権限や許可はないため、開業には「食品衛生責任者」資格が別に必要となります。
このことから「菓子製造技能士」は、あくまでも製菓技術を証明する資格であるといえるでしょう。
試験に挑戦する場合は、受験条件に実務経験が含まれている点に注意してください。
「製菓衛生師」とともに取得できれば、製菓技能の高さをアピールできるでしょう。
ちなみに、「製菓衛生師」を取得してから「菓子製造技能士」の試験を受けると、試験の一部が免除されます。
反対に「菓子製造技能士」を取得後「製菓衛生師」を受ける場合も、一部免除の科目があるようです。
どちらの資格も欲しいと思っている方は、どちらを先に受けるほうが効率よく取得できるか、考えることも重要でしょう。
認定協会 | 大阪あべの辻調調理専門学校・辻製菓専門学校・料理検定・菓子検定委員会 |
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受験資格 | 特になし |
受験料 | ・3級:2,000円(税込) ・2級:2,500円(税込) |
受験申込 | 公式ホームページより申し込み |
受験方法 | コンピューターによるCBT方式 |
合格基準 | ・3級:100点満点中70点以上 ・2級:100点満点中70点以上 |
受験日程 | CTBテストセンターの日程による |
資格試験概要 | ・3級:洋菓子部門/和菓子部門/食品衛生・栄養など ・2級:洋菓子部門/和菓子部門/食品衛生・栄養など |
お菓子の材料である食材・製菓法・道具・菓子文化についての知識があることを証明できる資格です。
お菓子やお菓子作りをより楽しむことを目的としており、お菓子の歴史や作り方のコツを学べます。
洋菓子だけでなく和菓子についても学べるほか、食品衛生や栄養の知識も手に入ります。
お菓子作りの知識がなくても、資格を通して基礎を学ぶことができるため、お菓子作りの基礎を知りたい方にもおすすめです。
認定協会 | 一般社団法人 日本スイーツ協会 |
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受験資格 | ・ベーシック:特になし ・アドバンス:ベーシック合格者ならびにユーキャンのスイーツコンシェルジュ講座合格者で現在日本スイーツ協会に入会している |
受験料 | ベーシック 初回受験(テキスト代込) ・一般:1万5,000円(税込) ・学生:1万円(税込) 再受験(試験のみ) ・一般・学生:5,000円(税込) アドバンス 初回受験(テキスト代込) ・一般:1万5,000円(税込) ・学生:1万円(税込) 再試験(試験のみ) ・一般・学生:6,000円(税込) |
受験申込 | インターネットより申し込み |
受験方法 | 会場にてコンピューターによるCTB方式 |
合格基準 | ・ベーシック:60点満点中42点以上(正解率70%) ・アドバンス:100点満点中70点以上(正解率70%) |
受験日程 | 試験会場による |
資格試験概要 | ・ベーシック:スイーツの分類/基本の生地とクリーム/製菓材料と特性/世界の銘菓とスイーツ文化/洋菓子用語 ・アドバンス:日本と世界のスイーツ文化/代表的なスイーツの構成/洋菓子の工芸技法/和菓子/味覚/(日・仏・英)製菓用語対訳集(材料編) |
スイーツから広がる食文化を学び、提案できる資格。
お菓子作りを楽しむよりは、お菓子を開発・販売するのに役立つ知識や技術が中心です。
資格級には「ベーシック」・「アドバンス」・「マスター」があり、アドバンスを受けるにはベーシックに合格していることが条件。またマスターを受けるには、アドバンスに合格していることが条件となります。
しかしマスター資格はまだ始まってはいないようなので、まずは初級のベーシックから挑戦していくとよいでしょう。
資格を得るには試験合格後、日本スイーツ協会に入会する必要があります。
協会へ入会すると、商品開発モニターや会員向けセミナーや講座に参加できるなど、さまざまな特典を受けられます。
特典をうまく利用すれば、キャリアアップや新しい仕事への挑戦に役立つこともあるでしょう。
お菓子作りだけでなく、お菓子を使ったビジネスに役立つ知識や技術が欲しい方におすすめの資格です。
続いては、お菓子資格をとるための勉強方法を4つご紹介します。
お菓子資格は、それぞれに試験や得られる技能に違いがあります。
試験対策では、この違いに合わせた勉強方法を選択すると、スムーズに勉強できるでしょう。
4つの方法のどれが自分にできそうか、考えながらご確認ください。
お菓子資格の中には、受験条件が設けられていないものがあります。
このタイプなら、しっかり勉強すれば独学でも合格を目指せるでしょう。
独学は、自分でテキストを用意し、試験までの計画を立て勉強していくのが基本のやり方です。
自分のペースで勉強できるうえに、試験対策にかかる費用をテキスト代だけで済ませられます。
ひとりで勉強したい方や、試験対策にかかるコストをできるだけ抑えたい方などに向いています。
半面、ひとりでの作業や計画を立てるのが苦手な方にはあまりおすすめできません。
独学は試験対策の用意・計画・モチベーション維持をすべて自分で行うため、ひとりだとすぐに飽きてしまう方や、計画を立てるのが苦手な方だとうまくいかない可能性があるからです。
独学で試験に挑戦する場合は、受験条件だけでなく、自分と独学との相性にも注目して検討してみましょう。
お菓子資格の中には、通信講座で勉強できるものがあります。
通信講座は、カリキュラムが試験日に向けて組まれており、スケジューリングの手間がありません。
添削問題や質問用紙を通して講師に勉強を見てもらえることから、モチベーション維持も独学より簡単です。
試験対策における弱点を指摘してもらえるため、よりしっかりとした対策ができるでしょう。
このほか、認定協会が提供しているアプリもおすすめです。
アプリにはあらかじめ勉強時間を決めて試験対策に取り組めるなど、スキマ時間を利用できる機能に優れています。
忙しくて試験勉強ができない方でも、アプリならしっかり勉強できるでしょう。
試験対策に取り組む前に、通信講座やアプリが活用できないか調べておくと、勉強しやすい環境を整えられます。
活用できるものがあれば、積極的に活用しましょう。
お菓子資格の中には、受験条件に通学や学歴が含まれているものがあります。
これらの条件を満たすには、料理や製菓の授業を行う専門学校や、協会が指定するスクールに通学しなくてはなりません。
特に製菓学校へ通う場合、学費や勉強する時間が必要です。
まとまった費用や時間が用意できるか考え、必要であれば学費を用意するところからのスタートになります。
お菓子資格の取得に通学が必要な場合は、費用や時間の計画を立ててから行動しましょう。
お菓子作りは、独学・通信講座・通学のすべての勉強と並行してできる勉強法です。
やり方は、お菓子資格のテキスト内にあるレシピを実際に作ってみるだけ。
お菓子を実際に作ることで、お菓子ができる科学的な仕組みを理解しつつ、五感で試験内容を理解できます。
机に向かって勉強しているときよりも、しっかりと知識が頭に入るでしょう。
試験対策では、テキストを覚えるだけでなく、お菓子作りにも挑戦してみてはいかがでしょうか。
お菓子資格はお菓子を楽しむことを目的としている資格から、本格的な製菓技術を得られる資格まで、じつにさまざまです。
取得できれば、お菓子を今まで以上に楽しむだけでなく、仕事の幅を広げキャリアアップのチャンスをつかむこともできるでしょう。
「今よりもおいしいお菓子を作りたい」「製菓関係の仕事でキャリアアップしたい」と考えている方は、ぜひお菓子資格にチャレンジしてみてください。その挑戦が、新たなお菓子の魅力発見につながるかもしれません。