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シェードガーデンとは?基礎知識とおしゃれなレイアウトのコツ

記事作成日:2025.03.26
「我が家の庭は日陰だから、きれいな花は育たないかも…」とガーデニングを諦めていませんか?実は日陰や半日陰の場所でも、適切な植物選びと工夫次第で魅力的な庭づくりができるのです。「シェードガーデン」と呼ばれる日陰を活かした庭は、強い日差しを避けられる快適な空間になるだけでなく、独特の雰囲気を楽しめる魅力があります。本記事では、シェードガーデンの基礎知識から植物選び、おしゃれなレイアウトのコツまで詳しく解説していきます。
シェードガーデンとは?基礎知識とおしゃれなレイアウトのコツ

目次

シェードガーデンの基本と特徴

シェードガーデンは、通常のガーデニングとは少し異なるアプローチが必要です。まずは基本的な知識を身につけて、日陰の特性を理解することから始めましょう。

1-1シェードガーデンとは何か

シェードガーデンとは、日陰や半日陰の環境を活かして作る庭のことです。もともとは大きな樹木の下に日陰を好む植物を植えて作る庭を指していましたが、現在では建物の影になる場所や北側の庭など、日当たりの悪い場所で作るガーデニングを広く指します。日光が不足する環境でも美しい緑や花を楽しむことができるのが特徴です。
直射日光が少ない環境では、通常の庭とは異なる雰囲気を楽しむことができます。シェードガーデンには独特の落ち着いた雰囲気があり、夏の暑い日でも快適に過ごせる空間を提供してくれます。この環境に適した植物は、葉の美しさや形を強調する種類が多く、四季を通じて変化する姿を楽しめます。

1-2日陰の種類と特性を知ろう

シェードガーデンを作る上で重要なのは、自分の庭の日陰がどのタイプなのかを理解することです。一般的に日陰は以下の3つのタイプに分けられます。
まず「ライトシェード(明るい日陰)」は、木漏れ日が差し込むような明るい日陰です。大きな落葉樹の下などがこれにあたり、冬には日が当たる場合もあります。
次に「ハーフシェード(半日陰)」は、1日に1~3時間程度の日照がある場所です。季節によって日照時間が変わるので、年間を通して観察することが大切です。
最後に「ディープシェード(完全な日陰)」は、ほとんど直射日光が当たらない場所です。建物の北側や高いフェンスの陰などがこれにあたります。
また、土壌の湿り気も重要な要素です。「ダンプシェード(湿った日陰)」と「ドライシェード(乾いた日陰)」では、適する植物が異なります。あなたの庭がどのタイプに当てはまるか確認しましょう。

1-3シェードガーデンのメリット

シェードガーデンには多くのメリットがあります。夏の強い日差しを避けられるため、暑い時期でも快適に庭仕事や庭時間を楽しめます。また、日陰を好む植物の多くは低成長で、過剰な伸びや広がりを心配せずに管理できるものが多いです。
さらに、日陰や半日陰の環境は、強風や長雨などの悪天候の影響を受けにくいため、植物がダメージを受けにくく安定して育ちます。水やりの頻度も日なたの庭に比べて少なくて済むため、忙しい方や初心者にも管理しやすいという利点があります。
シェードガーデンならではの静かで落ち着いた雰囲気も大きな魅力です。柔らかな光と影のコントラストが作り出す雰囲気は、忙しい日常から解放されてリラックスできる空間となります。日陰に適した植物の中には、美しい葉の色や形が特徴的なものが多く、四季を通じて違った表情を楽しめるのも魅力の一つです。

シェードガーデンに適した植物選び

シェードガーデンを成功させる最大のポイントは、その環境に適した植物を選ぶことです。日陰や半日陰でも元気に育つ植物は意外と多く、色鮮やかな花や美しい葉を楽しむことができます。

2-1半日陰で育つおすすめの植物

半日陰(ハーフシェード)は、1日に2~3時間程度日光が当たる環境です。こうした場所では、比較的多くの植物が育ちます。半日陰に適した植物としては、アジサイやクリスマスローズ、アルケミラ・モリス、フウチソウなどが人気です。
アジサイは日本でも親しまれている植物で、半日陰でも美しい花を咲かせます。特にヤマアジサイは自然の林の中に自生しているものなので、半日陰の環境に適しています。クリスマスローズは冬から春にかけて花を咲かせる常緑の宿根草で、日陰に強く、一度植えると長く楽しめます。
フウチソウは風に揺れる姿が美しく、日陰でも元気に育ちます。その明るい緑色の葉は日陰の庭に爽やかさを加えてくれます。アルケミラ・モリスは丸みを帯びた葉と黄緑色の花が特徴で、イングリッシュガーデンには欠かせない存在です。これらの植物は比較的手入れが簡単で、初心者でも育てやすいでしょう。

2-2完全な日陰に強い植物

完全な日陰(ディープシェード)では、直射日光がほとんど当たらない環境のため、特に耐陰性の高い植物を選ぶ必要があります。そのような環境に適した植物としては、
ホスタ(ギボウシ)
ヤブラン
ツワブキ

などが代表的です。
ホスタは日陰のガーデニングの王様とも言える存在で、約40種類もの品種があり、葉の形や色も様々です。ブルー系の葉色や濃い緑の葉を持つ品種は特に完全な日陰に適しています。ヤブランは常緑の多年草で、グラウンドカバーとしても活躍します。特に斑入りの品種は日陰の空間を明るく見せる効果があります。
ツワブキは艶のある丸い葉が特徴的で、秋には黄色い花を咲かせます。ヤブコウジやシャガも日本の在来種で、昔から日本の林床に自生していたため、日陰環境に非常に適しています。これらの植物は丈夫で育てやすく、一度植えれば長く楽しめるのが特徴です。

2-3葉の美しさを楽しむ植物選び

シェードガーデンでは、花よりも葉の美しさを楽しむ植物が主役になることが多いです。日陰では花付きが悪くなる植物も多いため、装飾的な葉を持つ植物を選ぶと一年中美しい庭を保つことができます。
ヒューケラは葉の色や形が豊富で、赤や紫、ライムグリーンなど様々な色の葉を持つ品種があります。明るい色の葉を選べば、日陰の庭を明るく見せる効果があります。ニューサイランはシャープな葉が特徴的で、庭にアクセントを加えてくれます。
シダ類も日陰の庭の定番で、繊細な葉が優雅な雰囲気を作り出します。斑入りの葉を持つアオキやカラーリーフプランツも、日陰の庭を彩る素晴らしい選択肢です。これらの植物は、花が少ない時期でも庭に美しさをもたらし、一年を通じて楽しむことができます。

シェードガーデンの土作りと管理方法

シェードガーデンの成功は、適切な土壌づくりと管理から始まります。日陰の環境に適した土壌条件を整え、正しい水やりや季節ごとの手入れを行うことで、植物は健康に育ち、美しいガーデンを長く維持できます。ここでは、シェードガーデンの土作りと基本的な管理方法について解説します。

3-1日陰の庭に適した土壌作り

日陰の庭に適した土壌を作るには、まず既存の土壌の状態を把握し、必要な改良を行うことが大切です。日陰の場所は水はけが悪くなりがちなので、排水性の良い土壌を目指しましょう。
土壌改良の手順は以下の通りです。
1.深さ20~30cmほど土を掘り起こし、ゴミや石などを取り除く
2.掘り起こした土を日光消毒する
(黒いビニール袋などに入れて日当たりの良い場所に置く)
3.元の場所に戻す際、腐葉土や堆肥、培養土を混ぜ込む
4.水はけを良くするために、パーライトや砂、軽石などを加える
5.緩効性肥料を混ぜて、植物の栄養源を確保する
日陰の土壌はしばしば湿り気が多く、根腐れを起こしやすいため、排水性と通気性を確保することが特に重要です。また、日陰では有機物の分解が遅いため、定期的に堆肥や腐葉土を追加して土壌を豊かに保つことも大切です。良い土壌環境を整えることで、植物の根が健康に育ち、地上部も美しく成長します。

3-2水やりと湿度管理のコツ

シェードガーデンでの水やりは、日なたの庭とは異なるアプローチが必要です。日陰の場所は蒸発が少ないため、水やりの頻度は一般的に少なくて済みます。ただし、土壌の表面が乾いていても、地中はまだ湿っていることがあるので、指で土の湿り気を確認してから水やりをしましょう。
水やりのポイントは以下の通りです。
1.表面が完全に乾いてから水やりをする
2.水やりは朝か夕方に行い、葉に水がついたままにならないようにする
3.根元に直接水を与え、葉に水がかからないようにする
4.長雨の後は特に根腐れに注意し、必要に応じて排水を確保する
5.乾燥しやすい場所では、マルチングを活用して湿度を保つ
日陰の環境では湿度が高く保たれやすいため、風通しを確保することも重要です。植物の間隔を適切に取り、必要に応じて剪定して風通しを良くすることで、病害虫の発生を防ぎます。特に梅雨時期は湿度が高くなるため、注意深く観察し、過湿による問題が発生していないか確認しましょう。

3-3季節ごとの手入れポイント

シェードガーデンを一年中美しく保つためには、季節に応じた管理が欠かせません。各季節での主な管理ポイントをご紹介します。
春は成長期なので、新芽が出始める前に古い葉や枯れた部分を取り除き、緩効性肥料を与えます。この時期に株分けや植え替えを行うと、植物にとって負担が少なく、うまく根付きます。
夏は高温多湿になりやすいため、風通しを良くして湿気がこもらないようにします。過密になった部分は適宜剪定し、病害虫の予防にも努めます。極端な乾燥時には水やりを増やし、マルチングを活用して根の周りの湿度を保ちましょう。
秋は植物が冬に備える大切な時期です。落ち葉などを定期的に掃除し、堆肥として活用します。また、この時期に球根や宿根草を植えると、翌年の春に美しい花を咲かせます。冬に向けて植物周りのマルチングを厚くするのもおすすめです。
冬は休眠期ですが、常緑植物は引き続きケアが必要です。特に寒風から保護する対策や、乾燥から守るための水やりが大切です。また、この時期はガーデンの計画や設計を見直し、翌年の準備をするのに適しています。

おしゃれなシェードガーデンを作るコツ

シェードガーデンは単に植物を植えるだけでなく、デザイン的な工夫によってより魅力的な空間にすることができます。植物の配置や素材選び、自然の日陰環境を再現するなど、いくつかのポイントを押さえることで、おしゃれで居心地の良いシェードガーデンを作り上げることができます。

4-1植物の配置と高低差の工夫

シェードガーデンで美しいデザインを実現するためには、植物の配置と高低差に気を配ることが重要です。異なる高さの植物を組み合わせることで、奥行きと立体感のある庭を作ることができます。
まず背の高い植物を奥に、中程度の高さの植物を中央に、低い植物を手前に配置する「レイヤリング」の手法を取り入れましょう。これにより視覚的な深さが生まれ、庭全体に奥行きが出ます。
背の高い植物としては、ノリウツギやバイカウツギなどの低木が適しています。中程度の高さにはホスタやアスチルベ、手前にはアジュガやティアレラなどのグラウンドカバープランツを配置すると良いでしょう。
また、同じ種類の植物を群植(まとめて植える)すると、統一感が生まれ、小さな庭でも存在感のある美しい景観が作れます。例えば、ホスタやヒューケラを数種類組み合わせて、葉の色や形の違いを楽しむという方法もあります。

4-2明るい素材で日陰を活かす

シェードガーデンが暗く見えがちな課題を解決するために、明るい色の素材を取り入れることは効果的な方法です。明るい色の素材は、限られた光を反射して空間を明るく見せる効果があります。
例えば、淡い色のレンガや砂利、ベージュ系の自然石を床材として使用することで、日陰の空間が一段と明るく感じられます。また、白やクリーム色のコンテナや装飾品を配置することも、空間に明るさをもたらします。鉢植えには白い鉢や艶のある釉薬のかかった陶器を選ぶと、日陰の中でも存在感を放ちます。
さらに、ファニチャーやフェンス、トレリスなどの構造物も白やベージュなどの明るい色にすると、空間全体が明るく感じられます。照明を効果的に取り入れることも、日陰の庭を夜間も美しく見せるポイントです。ソーラーライトやLEDライトを配置して、夕方から夜にかけての雰囲気も楽しめるようにしましょう。

4-3自然の日陰環境を再現する

シェードガーデンをより自然で調和のとれた空間にするには、自然界の日陰環境を参考にすることが有効です。森の林床や渓流沿い、岩陰など、自然の中の日陰の景観を再現することで、より本物らしさが増します。
例えば、苔や小さな岩を組み合わせて森の林床を模したり、小さな流れや水鉢を設置して渓流沿いの雰囲気を作ったりできます。木漏れ日のように光が揺らめく効果を出すために、反射する素材や風に揺れる植物を取り入れるのも良いでしょう。
また、自然素材の小道や踏み石を設置して、森の中を歩いているような体験を演出することもできます。シダ類や野草を組み合わせて、自然の中の日陰に生える植物コミュニティを再現すれば、より本格的な空間になります。こうした工夫によって、シェードガーデンは単なる日陰の庭ではなく、訪れる人に癒しと安らぎを与える特別な空間となります。

シェードガーデンのスタイル別デザイン

シェードガーデンは、和風や洋風など様々なスタイルで楽しむことができます。それぞれのスタイルには特徴があり、植物の選び方や配置、装飾品などを工夫することで、あなたの好みにあったシェードガーデンを作ることができます。

5-1和風シェードガーデンの作り方

和風シェードガーデンは、日本の伝統的な庭園の要素を取り入れた落ち着きのある空間です。日本の山野に自生する植物を中心に、シンプルで調和のとれたデザインが特徴です。
和風シェードガーデンに適した植物としては、
・ヤブラン
・ツワブキ
・シャガ
・ヤマアジサイ
・ヤブコウジ

などが挙げられます。これらの植物は日本の森林の下草として育ってきたため、日陰環境に自然に適応しています。特にヤブランとツワブキは常緑で手入れも簡単なため、初心者にもおすすめです。
和風の雰囲気を出すためには、自然石や砂利、竹などの自然素材を取り入れましょう。白い砂利と自然石を組み合わせて枯山水風にデザインしたり、竹垣や灯籠などの和風の装飾品を配置するのも効果的です。
また、苔や小さな石を使って、森の中の小道のような趣のある空間を作ることもできます。和風シェードガーデンは、控えめで繊細な美しさが特徴で、見る人に静けさと落ち着きを与えます。

5-2洋風シェードガーデンのポイント

洋風シェードガーデンは、ヨーロッパのガーデンスタイルを取り入れた華やかで彩り豊かな空間です。多様な植物を層状に配置し、色とりどりの花や装飾品で空間を彩ります。
洋風シェードガーデンに適した植物としては、
・ホスタ
・ヒューケラ
・クリスマスローズ
・アスチルベ
・アルケミラ
・モリス
・ティアレラ

などが挙げられます。これらの植物は色鮮やかな花や装飾的な葉を持ち、洋風の庭にマッチします。特に、淡い色の花や斑入りの葉を持つ植物は、日陰の中でも明るく映えます。
洋風の雰囲気を出すためには、石畳やレンガのパス、トレリスやアーチなどの構造物を取り入れましょう。また、ベンチや小さなテーブルなどのガーデンファニチャーを配置して、くつろぎのスペースを作るのも良いでしょう。
装飾品としては、バードバスや小さな噴水、オーナメントなどを配置すると、空間に個性と魅力が加わります。洋風シェードガーデンは、豊かな植栽と装飾的な要素が調和し、訪れる人を楽しませる明るい空間となります。

5-3狭いスペースでのアイデア

限られたスペースでもシェードガーデンを楽しむことができます。狭い空間では、垂直方向の活用や多機能的なデザインが鍵となります。
狭いスペースでのシェードガーデンには、コンパクトに育つ植物や鉢植えでの栽培が適しています。ティアレラやアジュガなどのグラウンドカバー、小型のホスタやヒューケラなどがおすすめです。特に狭い北側のベランダなどでは、観葉植物の鉢植えを組み合わせることで、夏だけの一時的なシェードガーデンを楽しむこともできます。
垂直方向を活用するために、壁掛けプランターやハンギングバスケットを利用しましょう。また、トレリスや棚を設置して、つる性の植物を育てるのも効果的です。

シェードガーデンをより深めたい方へ

シェードガーデンについての知識を深め、さらに専門的なガーデニング技術を習得したい方におすすめなのが「ガーデニングアドバイザー資格」です。この資格は、基本的なガーデンデザインの知識・技術・技能を有していることを認定するもので、ガーデニングの基礎知識から植栽プラン、設計・施工、管理方法まで幅広く学べます。
資格取得後は自宅やカルチャースクールでの講師活動も可能となり、ご自身のシェードガーデンづくりはもちろん、その知識を他の方にも広めていくことができます。日陰の庭づくりの知識をさらに深めたい方は、このような専門資格の取得も視野に入れてみてはいかがでしょうか

まとめ

「日陰だからガーデニングは難しい」と思っていた方も、今回ご紹介したシェードガーデンの基礎知識とレイアウトのコツを参考にすれば、素敵な庭づくりが可能です。日陰や半日陰という条件は、実は多くの植物にとって過酷な日本の夏を和らげる恵みともなります。適切な植物選び、土作り、そして管理方法を実践すれば、落ち着いた雰囲気と独自の魅力を持つシェードガーデンが実現できるでしょう。日陰を「制限」と考えるのではなく、「特別な可能性」として捉え、その環境ならではの美しさを追求してみませんか。ぜひ人にも植物にも優しい、心安らぐシェードガーデンを作り出してください。

日本インストラクター技術協会編集部
インストラクターの専門性を高めるためや地位向上を目的とした団体である日本インストラクター技術協会(JIA)編集部が運営するコラムです。
美容・健康・ボディケアの資格の筋トレインストラクター、シェイプアップインストラクターや骨格診断士。心理カウンセラー資格のメンタル心理インストラクター、子供心理カウンセラー®、音楽療法カウンセラーや行動主義心理アドバイザー®など様々な資格を認定しています。
日本インストラクター技術協会編集部